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小関順二が2018年ドラフトを斬る!
全球団の採点と注目点を徹底検証。
posted2018/10/26 12:15
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Yuki Suenaga
史上初、11球団が高校生野手を1位で入札した。
これまでのドラフトでは一人前になるまで時間がかかる高校生、特に野手は3位以下で指名されることが多かった。しかし、昨年は清宮幸太郎(早稲田実→日本ハム)、安田尚憲(履正社→ロッテ)、村上宗隆(九州学院→ヤクルト)、中村奨成(広陵→広島)が1位で指名され、今年も根尾昂(大阪桐蔭→中日)、藤原恭大(大阪桐蔭→ロッテ)、小園海斗(報徳学園→広島)、太田椋(天理→オリックス)の4人が1位指名され、入札は西武の松本航(日本体育大)以外は根尾、藤原、小園の3人で占められた。
高校生野手の1位指名がここまで多くなった遠因は、'05~'07年の3年間だけ行われた、分離ドラフトにあったと思う。
高校生だけを対象としたドラフトでは即戦力候補の大学生、社会人に向かうことができなかった。
全球団はひたすら高校生を指名することになったわけだが、'05年は炭谷銀仁朗(西武1位)、T-岡田(オリックス1位)、平田良介(中日1位)、銀次(楽天3位)、川端慎吾(ヤクルト3位)、'06年は坂本勇人(巨人1位)、福田秀平(ソフトバンク1位)、會澤翼(広島3位)、'07年は中田翔(日本ハム1位)、安部友裕(広島1位)、丸佳浩(広島3位)、中村晃(ソフトバンク3位)など、その後の主力を獲得することができた。さらに、投手だと'06年に田中将大(楽天1位)や前田健太(広島1位)を指名しているのだが……即戦力と信じた大学生と社会人は思ったような活躍ができなかったのである。
その記憶が過去2年の「高校生野手」の1位指名につながっているのだと思う――そういうことを考えながら、今年の指名を球団別に振り返ってみたい。
< 中日 95点 >
4球団が1位で重複した根尾(遊撃手)を指名できたことが大きい。
このポジションには京田陽太がいるが、バッティングの潜在能力で上回る根尾が3年後くらいにはショートの座につき、京田が二塁にコンバートされている可能性が高い。
2位で梅津晃大(投手・東洋大)を指名できたことも大きい。
東都大学リーグで1勝しかしていないが、最速153キロを計測したストレートのボリュームとスライダー、フォークボールのキレはリリーフ向き。1年目から鈴木博志、佐藤優と抑えの座を争う能力を秘めている。
3位勝野昌慶(投手・三菱重工名古屋)も最速152キロのストレートに威力を秘め、弱体投手陣の先発陣に割って入る力がある。
根尾とともに注目しているのが4位の石橋康太(捕手・関東一)だ。中学3年時、エキシビションゲームで二塁送球1.9秒台を計測した強肩にさらに磨きがかかり、高校通算57本塁打の強打も今年の高校生キャッチャーではナンバーワン。5位垣越建伸(投手・山梨学院)、6位滝野要(外野手・大阪商業大)まで含め、セ・リーグでは一番納得できる指名をした。