“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
小関順二が2018年ドラフトを斬る!
全球団の採点と注目点を徹底検証。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byYuki Suenaga
posted2018/10/26 12:15
中日の与田剛新監督の右腕がつかみ取った今ドラフト・ナンバーワン選手の交渉権。来季は中日復活の年になるか?
藤原恭大は福留孝介を思わせる。
< ロッテ 95点 >
3球団が重複した藤原恭大(外野手)の交渉権を獲得したロッテも成功組だ。
振り抜いたあとのフォロースルーの大きさやしなやかさは福留孝介(阪神)の全盛期を思わせる。
外野守備に活かせる強肩や実戦でのベース1周14秒台の俊足も、根尾と並んで今指名選手の中でトップランク。安田尚憲と組む将来のラインナップを考えるだけで胸がわくわくする。
2位の東妻勇輔(投手・日本体育大)は即戦力候補だ。とくにロッテが課題とするリリーフで力を発揮してきた経歴は魅力で、1年目から勝利の方程式に名をつらねる可能性を秘める。勝負球は最速155キロのストレートとスライダーだ。
3位小島和哉(早稲田大)、5位中村稔弥(亜細亜大)はストレートより投球術や低めに集めるコントロールのよさで打者を翻弄してきた左腕の技巧派。7位松田進(Honda)は社会人になってから強打に磨きがかかった身体能力に特に秀でたアスリートタイプの三塁手で、4位山口航輝(外野手・明桜)、6位古谷拓郎(投手・習志野)、8位土居豪人(投手・松山聖陵)は4、5年後の素質開花を秘める高校生だ。
< 日本ハム 90点 >
中日、ロッテより5点低くしたのは入札した根尾を抽選で外したためだが、外れ1位で吉田輝星(投手・金足農)の交渉権を獲得したことで、上位2球団とほとんど差がない評価となった。
今夏の甲子園大会や国体で、回転数の多いストレートを駆使して横浜、常葉大菊川など有力校の強打者をなで斬りにし、バント処理で見せる軽快なフィールディングや一塁走者の大きい離塁を許さない牽制球の速さなど、プロで必要とされるディフェンス能力までも備えていることも吉田の魅力である。高校生ながら、担当スカウトが「即戦力」と言い切るのも十分納得できる。
今年の日本ハムは、2位以下でも高校生の有力選手をずらりと並べた。
2位野村佑希(内野手・花咲徳栄)はプロ野球の打者でも苦にする内角胸元の球をレフトスタンドに放り込むヘッドスピードの速さでひときわ目を引く。
4位万波中正(外野手・横浜)は横浜スタジアムのスコアボードを直撃する長打力、5位柿木蓮(投手・大阪桐蔭)は上位指名も予想された夏の甲子園大会の優勝投手、6位田宮裕涼(捕手・成田)は右投げ左打ちの巧打と強肩と、高校生の時点でそれぞれのプレーに特徴があるのがいい。
即戦力の可能性が高いのは3位生田目翼(投手・日本通運)だ。
最速155キロのストレートだけでなく、多彩な変化球を内外、高低に投げ分ける投球術もハイレベル。チームに不足する先発陣に割って入りそうだ。7位福田俊(投手・星槎道都大)までリリーフの即戦力候補として十分に期待できることも、見逃せない。