話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
堂安律「うまかったでしょ!」
日本人離れしたシュートの秘密。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/10/19 11:00
一瞬で日本代表のエースに名乗りをあげた堂安律。刺激的な発言も含めて、観る者を楽しませてくれる選手だ。
実はクラブでは苦しんでいた。
実は、今回の代表に招集された時、堂安は悩みの淵にいた。
昨季は29試合9得点と結果を出し、左足のシュートには絶対の自信を持っていた。東口が指摘するように、シュートの意識も変わった。
今シーズンも開幕戦で初ゴールを挙げて好スタートを切ったが、その後8節まで全試合フル出場を果たしているものの、得点は開幕での1点のみ。フローニンゲンも1勝しかできず、堂安もチームも苦しんでいる。
「得点ができていないのは、代表ならたとえば翔哉(中島)がボールを持ったり、拓実(南野)くんがキープしたりするところを全部、自分がやらないといけない。やるべき仕事がすごく多くて、なかなかシュートチャンスがないんですよ。そういうチーム状況だけじゃなく、自分の得点感覚もあまり良くないです」
焦ると、他人の成績が気になる。
得点感覚が鈍ると、周囲の選手の活躍には敏感になる。
森保一監督の初陣となったコスタリカ戦は、南野拓実と途中出場を果たした伊東純也がともに初ゴールを決めた。パナマ戦では南野と伊東が2試合連続でゴールを決めた。ライバルたちが次々と点を取るのを目の当りにして、自分の中で焦燥の影が膨らんでいくのを感じた。
「不安でしたね。自信を失っているわけじゃないけど、点が取れへん。だから、日本人選手が点を取っているのがめっちゃ気になりました。それは選手個人、例えば拓実くんが2点、3点とったからというんじゃなくて日本人の選手が点を取ったというのが気になっていたんです」
コスタリカ戦では、数回あったチャンスを逸した。パナマ戦では途中出場したが、堂安が点を取りにいこうとしたのにチームがスローダウンしたり、その逆もあった。自分の意志とチームの流れがかみ合わず、出場した10分間はうまく攻撃に絡めずに終わった。