話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
堂安律「うまかったでしょ!」
日本人離れしたシュートの秘密。
posted2018/10/19 11:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Takuya Sugiyama
「今日のシュート、うまかったでしょ!」
思わず表情が緩む。
「もうマジでよかった。決まってホッとしました」
堂安律は、安堵した笑みを見せた。
日本代表として3試合目となるウルグアイ戦、ついに初ゴールを決め、4-3の勝利に貢献したのだ。
その瞬間は、後半14分にやってきた。
右ペナルティエリア前にいた酒井宏樹に、リターンを出してくれることを念じてパスを出した。酒井はそれに応えて、絶妙のタイミングで堂安にスルーパスを出した。この時、酒井は「ちょっと長すぎる。パスがズレた」と思ったという。だが、ボールは堂安の足元に収まり、そのままエースは素早く左足を振った。
「トラップもシュートも完璧でした」
流れるような美しいゴールは相手DF陣を棒立ちにさせ、ため息をつかせた。今の堂安のいいところが存分に出た代表初ゴールだった。
日本人に少ない振り抜くシュート。
9月のコスタリカ戦、GKの東口順昭は久しぶりに会った元チームメイトの成長を感じていた。
「ガンバにいた時の律は、シュートを打つかどうかで迷ってから打っていた。でも、今は迷いなく振り抜いている。遠くからでも簡単に決められるようになってきたんで、DFは間合いを考えなあかんし、GKもボールをしっかり見て守備範囲を広げていかなあかん。体も強くなって、恐い選手に成長してきたなって思いますね」
東口いわく、Jリーグではシュートを当てにくる選手が多く、堂安のように振り抜いてくる選手はほとんどいないという。そういうシュートを打てるようになったのは、オランダで目の当たりにしたストライカーたちの影響もあるが、一番は昨年からチームで結果を出して自信が膨らんできたからだ。
「東くんに『振り抜いてるな』って言われました。日本人で振り抜いてシュート打つ選手は少ないし、パンチのある選手がボールを持ったら怖いのはそういうところやと思うんで、そこは意識しています。でも、今日の試合は振り抜くシーンはほとんどなかったです」
堂安は、そう言って苦笑した。