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プロ野球選手の昔の風格が凄かった!
衣笠祥雄の秘蔵写真とカメラマン秘話。
posted2018/10/06 11:30
text by
朴鐘泰Park Jong Tae
photograph by
Hidenori Daikai
なんだこの写真。
フィルムを見て、のけぞってしまうほどだった。
全員お揃いの上下の白スーツに黒の開襟シャツ。とても野球選手に見えない。全日空の旧ロゴもシブい。平成生まれの若者に「これ、昔の映画のワンシーン」っていえば、すんなり信じてくれるだろう。
この強烈なインパクトは某SNSで、とんでもないほどの話題になった。いわく「昔のカープはどう見ても堅気ではない」という風なコメントで。
……ですよね。見つけた僕も、「これからカチコミ?」って余計なツッコミいれたくらいですから。
この写真は、9月27日発売のNumber962号「V3から日本一へ カープの花道。」特集内で、今年4月に惜しくも亡くなられたカープのレジェンド、衣笠祥雄さんの追悼ノンフィクション「フルスイングの美学は永遠に」に使用した。
実はこの写真、38年前に撮影されたものである。1980年8月5日発売のNumber9号に衣笠さんの記事があり、タイトルは「怪我を飼いならした男・衣笠祥雄の1247試合」。どんと見開いた笑顔の衣笠さんの写真が印象的だった。
写真の引き出しを開けては閉め。
もしかしたらこの時に撮ったほかの写真が社内の写真資料室に残ってるかも、と思いつき、写真資料室の引き出しを開けてはひっくり返し、開けてはひっくり返しを繰り返し、やがてホコリを吸いすぎてむせるわ、ノドが痛いわで、「もうやだ帰りたい……」と心が折れかけたその時に、やっとこさ見つけた秘蔵中の秘蔵写真である。
撮ったのは大海秀典さん。編集長に「どなたですか?」と聞けば、「ああ、ダイカイさん。写真部OBの方だよ」とのこと。
なんだ、先輩じゃん、ということで、さっそく大海さんに当時の取材の様子を聞いてみることにした。