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バレー古賀紗理那の悩みを払拭した
母からの「カッコよかった」とは。
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT
posted2018/10/04 08:00
世界選手権で存在感を放っている古賀紗理那。中田久美監督率いる全日本の主力の1人だ。
絶対、決めてやっからなって。
世界選手権が始まってからもサーブレシーブやディグ、チャンスボールは突いて返すのではなく少し高く上げる。その間を使ってしっかり助走して踏み込み、一番高い、腕を振り切れる位置で力を乗せてボールを叩く。
地道に取り組んだ練習と、意識改革の成果が世界選手権では随所で現れた。
2次ラウンド進出に向けた大一番となった9月30日のオランダ戦。試合はフルセットの末に敗れたが、第1セットを落とした後の第2セットは12-9からストレート、クロス、ブロックの間とさまざまなパターンで打ち分ける古賀のスパイクで4連続得点。一喜一憂することなく堂々とした姿は、エースとしての風格を漂わせた。
「ちょっとずつですけど、試合中に『持ってきて下さい』って言えるようになってきたので、もっと自信を持って、どんな状況でもそう言えるようになりたいし、大事な1点を決める存在になりたい。全部安定したプレーができて、プラス、勝負所でガツンとギアを上げる。
それが自分の中では一番の理想だから、今はまだ『私がエースだ』とは言えないかもしれないけれど、でも、誰にも負けたくない、って常に思うようになって。もう悔しい思いは絶対したくない。だから試合はもちろんですけど、AB戦でもずっと思っていたんです。『絶対、決めてやっからな』って」
力強さと、逞しさを備え、壁を乗り越える。私がエースだ、と胸を張るために。