バレーボールPRESSBACK NUMBER
石川祐希は全日本に融合できるか。
世界バレー1次L、中垣内監督の意図。
posted2018/09/18 11:30
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Itaru Chiba
現在イタリア・ブルガリアで開催されている世界選手権の第3戦、対スロベニアの立ち上がり。石川祐希が渾身のサーブを打ち込み、サービスエースを奪った。
勝つぞ! 攻めていくぞ! という、この一戦への決意表明のような1本だった。
「この試合はチャンスがあると思っていたので、ああいう入りができたと思います。サーブとサーブレシーブ(が重要)だと言われていましたし」
9日に行われたイタリアとの開幕戦は、初めて経験する屋外コートゆえの感覚のズレがあり、またセリエAでプレーしてきた石川にとって馴染み深いイタリアの地で、イタリアと対戦するということで、力みもあった。普段、同じ失敗を繰り返すことのない石川が、立て続けにイタリアのブロックにシャットアウトされた。
「そりゃあもう悔しかったです。自分が決めるべきところでシャットアウトを食らって、自分のせいで負けた感じでしたから。あれは反省しました」
そこから4日後に仕切り直した第2戦は格下のドミニカに3-0で勝利した。その後のスロベニア戦、ベルギー戦、アルゼンチン戦が、2次ラウンド進出を決める重要な試合となる。
「自分たちがマックスで戦わないと」
スロベニア戦ではスパイクが冴えた。滞空時間の長いジャンプから、ブロックを見て鋭いコースに打ち分ける。スパイクが決まると吠え、チームメイトに激しいハイタッチを見舞った。闘志が自然と表に出ていた。
「“ここ”と思っていましたから。昨日ドミニカとやって、ここから先は強い相手ばかりなので、自分たちがマックスで戦わないと、チャンスを持ってこられないですから」
気の充実は体の充実から――。この日の石川はそれを体現しようとしていた。
初めて世界を驚かせたのは3年前、2015年のワールドカップだった。まだ19歳だった石川は、世界の強豪を相手に軽やかにスパイクを決め、強力なサーブでポイントを奪った。スパイク決定率は全体の4位となり、ベスト6にも選出された。