酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
カープ丸佳浩が前例のない大化け。
突然のHR量産でセの最強打者に。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2018/09/20 11:15
2年連続のMVPも視界に入る丸佳浩。ホームラン数の急増は熱心なカープファンでも驚きだっただろう。
「普通の人」という感じだが。
私は今春のキャンプ、日南の球場のトイレで丸と一緒になった。身長も私よりちょっと大きい程度。もちろん精悍な体つきではあったが、“野球が上手い、あんちゃん”という感じだった。「カピバラ3兄弟」には入っていないが、顔は名前の通り丸くて優しい。
GIジョー(古くてすみません)がユニフォームを着ているような鈴木や、ソフトバンクの柳田悠岐などとくらべても「普通の人」という感じがしてならない。
しかしその可愛らしい丸が、GIジョーの面々を抑えて最強打者になっているのだ。
選球眼はもともと素晴らしかった。
これが突然変異的なのは、丸のプロ入り後のRC27を見ればわかる。
2010年 1.23/19打 3安 0本 1盗 2球 打率.158
2011年 4.07/435打 105安 9本 9盗 44球 打率.241
2012年 4.62/283打 70安 4本 14盗 46球 打率.247
2013年 5.83/506打 138安 14本 29盗 85球 打率.273
2014年 7.66/536打 166安 19本 26盗 100球 打率.310
2015年 5.56/530打 132安 19本 15盗 94球 打率.249
2016年 6.91/557打 162安 20本 23盗 84球 打率.291
2017年 7.70/556打 171安 23本 13盗 83球 打率.308
2018年 11.75/376打 123安 36本 10盗 116球 打率.327
何と、今年の丸のRC27は昨年比で53%もアップしていて、別人のような数字だ。もともと選球眼が素晴らしかった丸だが、これだけ本塁打が出れば相手投手もより一層警戒する。結果、四球数はリーグ断トツの116にまでふくれあがっている。
丸のように突如“大型化”した選手は、NPBではあまり思い浮かばない。長距離打者のほとんどは入団時から「大物打ち」の雰囲気があり、数字も徐々に右肩上がりになっていくものだ。