酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
カープ丸佳浩が前例のない大化け。
突然のHR量産でセの最強打者に。
posted2018/09/20 11:15
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
昨シーズンのこの時期、私はセ・リーグのMVPは、広島の丸佳浩だ、と主張した。昨年の丸は最多安打のタイトルこそ取ったが、主要3タイトルには届かなかった。
しかし、打者の総合指標であるRC(Run Created)の数値を見れば歴然だったのだ。
<昨年のセ・リーグRC5傑>※打=打数、安=安打、本=本塁打、盗=盗塁、球=四死球
1丸佳浩(広) 114.60/556打 171安 23本 13盗 83球 打率.308
2筒香嘉智(De)103.98/503打 143安 28本 1盗 93球 打率.284
3田中広輔(広)101.91/565打 164安 8本 35盗 89球 打率.290
4マギー(巨) 96.28/523打 165安 18本 4盗 58球 打率.315
5ロペス(De) 95.35/569打 171安 30本 0盗 27球 打率.301
RCを簡単に説明すると、安打、長打、盗塁、盗塁死、犠打と犠飛、四死球、三振などオフェンス面の数字をすべて盛り込み、打点に近い数字になるように調整したものだ。打点と同様、100を越えればリーグ屈指、110を越えればMVP級の数字となる。またRCは積み上げ型なので、多くの試合に出て、打席数が多い選手が有利になる。
昨年の丸は全試合出場し、リーグ最多の171安打を放った。また四球も盗塁も多かったからこれだけの高水準となり、MVPは当然という感じだったのだ。では今年はどうか?
今季は山田哲人に次ぐ2位だが。
<今季のRC5傑>※成績はすべて9月18日終了時点
1山田哲人(ヤ)121.76/476打 148安 32本 30盗 98球 打率.311
2丸佳浩(広) 117.10/376打 123安 36本 10盗 116球 打率.327
3ビシエド(中)104.33/483打 170安 25本 3盗 51球 打率.352
4岡本和真(巨)103.36/501打 155安 31本 2盗 68球 打率.309
5鈴木誠也(広)101.54/377打 122安 29本 4盗 76球 打率.324
今シーズンはまだ3週間ある。各球団は9~19試合ほど残しているが、この時点でリーグ2位までのRCは昨年のトップをすでに超えていて、セ・リーグは打高投低が顕著になっている。今季のセリーグ全体の防御率は4.18で、昨年は3.67。パワーバランスが変わったことは頭に入れるべきだ。