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3年ぶり白星の郭と途中加入の小川。
土壇場で西武に力を与えた2人の男。
posted2018/09/21 10:30
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
福岡ソフトバンクホークスの驚異の追い上げにより9月14日、首位のライオンズと2位・ホークスとのゲーム差は3.5まで縮まっていた。迎えた首位攻防戦、9月15日からの3連戦はライオンズにとって今シーズン一番の正念場と見られていた。
その天王山を3連勝で終え、ライオンズは優勝へのマジック11を点灯させた。
重要な直接対決の初戦となる15日の予告先発が発表されたとき、メットライフドームのスタンドは一瞬ざわついた。ホークスの先発はここまで11勝を挙げている日本球界のエース・千賀滉大。ライオンズ戦にも4試合登板し、すでに3勝を挙げている。
対するライオンズの先発、郭俊麟は8月26日に今シーズンの初登板を経験したばかり。昨シーズンは故障のもあって一軍登板はなく、今年もいまだ勝ち星がない投手だ。
ホークスに分があると考えた野球ファンは多いだろう。
登録名もカクからクォへ変更。
ところが、その郭が5回3分の0を投げて6安打、3失点にホークス打線を抑える好投を見せた。特にクリーンアップの中村晃、柳田悠岐、グラシアルを1本塁打だけに抑え込み、ゲームを作った。
試合後、郭は語った。
「今日のピッチングでライオンズに入団して1年目、2年目の自分とは全く違うスタイルのピッチングを見せることができました。真っ直ぐ、チェンジアップだけの自分ではなくて、いろんな球種で、なおかつすべてが自分の武器になるピッチングができたと思います」
2015年、国立台湾体育運動大から鳴り物入りでライオンズに入団。1年目は21試合に登板し3勝を挙げたものの、2年目以降は白星から遠ざかった。
昨シーズンは故障もあって一度も一軍のマウンドを踏んでいない。背番号は「12」から「69」へ。心機一転のため、登録名も『カク・シュンリン』から中国語読みの『クォ・ジュンリン』に変更した。