欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
イタリア版グアルディオラとは?
デゼルビという監督を知ってますか。
text by
手嶋真彦Masahiko Tejima
photograph byGetty Images
posted2018/09/12 10:30
外見に共通点は見当たらない。しかしロベルト・デゼルビが「イタリアのグアルディオラ」と呼ばれることには理由がある。
34歳で引退、監督2年目で注目される。
晩年を過ごしたルーマニアのクルージュでは、国内2冠やCL出場も経験している。とはいえ、それが祖国イタリアで大きな話題となったわけではない。最後のクラブはセリエD、すなわちアマチュアのカテゴリーだった。34歳で引退した。
指導者転身後のデゼルビは、早くから注目される。監督キャリア2年目にしてセリエCのフォッジャを7位に導くと、そのまま留任して迎えた2015-16シーズンはレギュラーシーズンを2位で終える。
惜しくもプレーオフ決勝で1歳年長のジェンナーロ・ガットゥーゾ(現ミラン監督)率いるピサに敗れてセリエB昇格こそ逃しているが、「イタリアのグアルディオラ」という声はすでに広まりつつあった。
こんな評価もある。退屈なチームにすぎなかったフォッジャを、イタリアで最もエンターテイニングな、つまり観衆を楽しませるチームのひとつに変貌させた、と。
ポジショナルプレーを3部で導入。
デゼルビが築いたのは、こんなチームだ。
マイボールを大事にして、最後尾からパスをつなぐ。GKも攻撃の起点となる。ボールホルダーは相手を引き寄せ、数的優位を作り出そうと試み、縦パスを入れるチャンスがあれば積極的にチャレンジする。
ロストしたボールは即座に奪い返そうとする。ボールポゼッションを志向しながら、ボール支配そのものを目的とするわけではない。ポゼッションは守備ラインの裏を取り、相手チームのディフェンスを崩すための手段なのだ。
もっと簡単にまとめてしまうと、グアルディオラと同じ「ポジショナルプレー」をセリエCという3部リーグのチームに導入し、セリエB昇格こそ逃したとはいえ、業界内では無視できない成果を残してみせたのがフォッジャ時代のデゼルビである。