欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
イタリア版グアルディオラとは?
デゼルビという監督を知ってますか。
posted2018/09/12 10:30
text by
手嶋真彦Masahiko Tejima
photograph by
Getty Images
イタリア版グアルディオラ――。そう呼ばれている青年監督をご存じだろうか。
試合中のピッチサイドでは全身黒ずくめ風の出で立ちで、開襟シャツは胸のボタンが今にも飛び散るのではないかというほどピチピチに着こなしている。不敵にも映る面構えが、多少はジョゼップ・グアルディオラに似ていると言えなくもない。しかし、経歴上の共通点を見つけ出すのは難しい。
監督実質1年目にしてCLを含めた3冠獲得というグアルディオラと同じように、いきなり華々しく偉業を成し遂げたわけではない。それどころか、セリエAでは負け続けてきた監督だ。
現役時代はバルセロナの黄金時代を支えた主力で、ワールドカップの出場歴も得点歴('94年大会)もあるグアルディオラとは違い、A代表歴はなく、大きな脚光を浴びた選手でもなかった。セリエAの出場歴は3試合だけである。
日本ではまったくの無名に近いだろう。その青年監督の名前はロベルト・デゼルビ、と言われたところで、顔が思い浮かぶだろうか。ただ、この機会に是非覚えていただきたい。デゼルビが「イタリアのグアルディオラ」と呼ばれてきたのには、理由がある。
グアルディオラとの共通点は多くない。
デゼルビがこの世に生を受けたのは1979年6月6日。1971年1月18日生まれのグアルディオラよりも8歳年下で現在39歳だ。名門ミランの下部組織出身という育成年代のキャリアだけは、名門バルセロナの下部組織出身であるグアルディオラと重なる。
背番号4番を背負っていた司令塔のグアルディオラに対し、デゼルビは10番。トップ下を主戦場とするいわゆるファンタジスタだった。
現役時代のハイライトは、28歳でセリエA初出場を果たした2007-08シーズンか。当時所属していたナポリはまだ復興の途上で、その2季前にセリエC(3部)、前年にセリエB(2部)と這い上がってきたところだった。
しかしデゼルビ自身は這い上がれず、セリエA昇格から半年後の'08年1月にはセリエBのブレシアに放出となってしまう。結局、セリエAの出場歴はナポリ時代の3試合のみ。先発したのは1試合だけだった。