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イタリア版グアルディオラとは?
デゼルビという監督を知ってますか。
text by
手嶋真彦Masahiko Tejima
photograph byGetty Images
posted2018/09/12 10:30
外見に共通点は見当たらない。しかしロベルト・デゼルビが「イタリアのグアルディオラ」と呼ばれることには理由がある。
「ユーベをどうやって止めるか? 知ったことか」
9月16日に迫った4節の相手は、開幕3連勝で単独首位に立っているユベントスだ。しかし、クリスティアーノ・ロナウドを加え、さらに難攻不落となった絶対王者との“首位攻防戦”を前にしても、デゼルビに気負った様子はない。
「明らかにイタリア最強の、今季は欧州最強でもあるチームと戦うわけだ。どうやって止めるか? 私が知ったことか。ただ、結果を残せる希望があるのは分かっている。彼らのネガティブな節(せつ)に、巡り合う必要があるだろう。もちろん、負けに行くとは言いたくない。全力を尽くすまでさ」
どこまで建前で、どこから本音なのか。少なくとも、こうは言えそうだ。デゼルビという監督は、負けを怖れ、腰が引けた戦いの末に負けてきた監督ではない。
標榜してきた主導権を握る、攻撃的なサッカーで勝とうと試み、おそらくは狡猾な相手ばかりが揃ったカルチョの世界ゆえ、負け続けてきた監督なのだ。同じ負け続きでも、そこが違う。
予言めいた言葉を残しているのは、デゼルビと同業者のマルコ・ジャンパオロだ。かつては彼自身がいずれビッグクラブを率いていてもおかしくない青年監督と評され、現在はサンプドリアを率いて3年目という51歳のジャンパオロは、こう言っていた。
「(デゼルビという監督は)いつか、イタリアサッカーの新しい“基準”となっているかもしれない」
敗北を怖れ、忌み嫌い、ディフェンシブに戦おうとする。そんなイタリアで敗北を怖れず、攻撃サッカーの信念を貫き、しかも成長し続ける監督がどこにでもいるわけではない。デゼルビがどれだけ負け続けようと、「イタリアのグアルディオラ」と呼ばれる大きな理由が、おそらくそこにある。