サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
南野拓実は3年前と何が変わったか。
「僕らがW杯に出た人を脅かす」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJFA/AFLO
posted2018/09/09 11:30
森保一監督は南野拓実(中央)だけでなく、堂安律(右)、中島翔哉らを招集した。代表での競争は熾烈さを増しそうだ。
自分は成長しているという実感。
あれから3年近くがたった。その期間で、南野は何を得たのか。
「呼ばれなかった時期も色々な葛藤がありました。代表どうこうではなく、クラブで毎日しのぎを削ってきました。“自分は成長している”という実感をもって毎日を過ごしていました。だから、あのときの悔しい気持ちを今回表せるように、結果で示すだけだと思っています」
森保一監督のもとで代表に招集された南野は、静かにそう語った。
所属チームでの状況は、代表入りの1つのポイントである。その点で南野は今、恵まれた環境にいる。
ザルツブルクで出会った名監督。
ザルツブルクは昨シーズンのヨーロッパリーグで準決勝まで勝ち進み、延長の末にオリンピック・マルセイユに敗れた。その健闘を支えたのが、昨シーズンから指揮を執るドイツ人のマルコ・ローゼ監督である。
ローゼは2013年7月にザルツブルクU-16監督に就任すると、2016-17シーズンにはU-19チームを率いて、UEFAユースリーグ優勝を果たした。同大会は2013年に始まったチャンピオンズリーグのユース版で、ヨーロッパの強豪の下部組織64チームが出場している。
この大会でローゼ率いるチームは、マンチェスター・シティ、パリSG、アトレティコ・マドリー、バルセロナを立て続けに撃破。決勝ではベンフィカ・リスボンを下して、チャンピオンに輝いた。下部組織で実績を残し、41歳にしてヨーロッパ中の注目を浴びる監督となった。
さらに面白いのが彼のキャリアだ。指導者としてのスタートを切ったのは2009年だったが、この時はまだ現役選手だったのだ。ブンデスリーガ開幕直前にマインツのヨルン・アンデルセン監督が解任され、トーマス・トゥヘル監督が急きょ監督を任された。
その際、アシスタントコーチが決まるまでの2週間を選手兼アシスタントコーチとして過ごしたのだ。その後、マインツU-23で2シーズン選手兼アシスタントコーチを経験し、当時ドイツ4部だった故郷のクラブであるロコモティフ・ライプツィヒの監督を経て、ザルツブルクにやってきた。