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鷹の新1番打者・牧原大成は規格外!
“奇跡の育成世代”の遅れてきた男。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2018/09/12 08:00
昨季の怪我からも完全復活し、今年はチームの原動力として活躍中の牧原大成。
育成ドラフト出身がチームの主力へ。
彼らは'10年育成ドラフトで順番に名前を呼ばれた。育成4位が千賀、同5位が牧原、同6位が甲斐だった。
育成指名のしかも下位の3人がチームの主力を担うまでに成長したのは驚くばかりだが、牧原は他の2人に比べて後れを取っていたのをとても気にしていた。支配下登録を勝ちとったのは牧原もプロ2年目6月と決して遅くはなかったが、千賀の方が2カ月ほど早かった。
あの頃、千賀が登録された直後の牧原は「おめでとうと声をかけたけど、なんか気まずいというか、会話がなくなりました」とモヤモヤした心境を漏らしていたのを記憶している。
ホークスの潮目が変わった日。
ようやく同じステージまで這い上がった。ただ、これまでもチャンスがなかったわけではない。
'16年には41試合に出場し、うち24試合でスタメン出場した。しかし、打率2割4分4厘と平凡な数字しか残せずに定位置を掴みきれなかったのだ。
「あの頃は結果を欲しがり過ぎて自分の打撃が出来ていなかった。今はいい意味で開き直っています。一軍に上がってきた最初の頃も、もしダメならばまた二軍でやり直せばいいという気持ちで臨むようにしていました」
その後も順調にヒットを重ね、8月10日、上位を争うファイターズ戦のカード初戦で今シーズン初めて1番に座った。この日はノーヒットに終わったが、チームは対戦7連敗中だったファイターズを相手に5対0で快勝した。
これを機に、ホークスは潮目が変わった。
ならば流れを崩す必要はなく、牧原は1番に定着。その期待にバットで応えていった。特に固め打ちをする。8月19~22日は3試合で計10安打を放ったかと思えば、同28~9月5日には6試合連続マルチ安打を記録した。