炎の一筆入魂BACK NUMBER
当たり前のように勝つ広島の強さは、
当たり前のように走る新井にあり!
posted2018/09/04 08:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Takuya Sugiyama
ビジネス書を手に取ると、「当たり前のことが当たり前にできることが成功への道」などと書かれている。
分かっていてもできていない。
やろうとしても続かない。
「当たり前のことを当たり前にやる」は意外と難しいことなのかもしれない。
セ・リーグのペナントレースは、今年も広島が先頭でゴールを切りそうだ。これまでの戦い同様、マジック点灯から無風のまま頂点にたどりつきそうな雰囲気になってきた。4月24日に奪取した首位の座はその後一度も譲っていない。それどころかじわじわと2位以下を突き放し、独走状態が続いている。
「今年も広島は強いな」「勝ち過ぎだな」などという声をシーズン中、何度も耳にした。
ただ正直、チームに同行していても、そこまで他を圧倒するような強さを感じていなかった。
12球団トップの34度の逆転勝利!
もちろん、打線はすごい。
総得点や本塁打、盗塁はいずれもリーグトップ。ヤクルトに一時上回られていたチーム打率もトップの座を奪い返した。
一発長打の破壊力だけでなく、リーグトップの四球を選ぶいやらしさも併せ持つ。
どれだけリードしてもつなぎの意識を徹底し、どれだけリードを奪われてもあきらめない。
12球団トップの34度の逆転勝利が物語る粘りと精神的強さには何度感服させられたことか分からない。
防御率4点台の投手陣は先発、中継ぎともに安定感を欠いた。他球団にとっては、つけいる隙もあったはずだ。
それでも気付けば、広島が勝っていた。