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鹿島帰還のジーコが求める自覚。
見守り刺激を与える「七味唐辛子」。 

text by

池田博一

池田博一Hirokazu Ikeda

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photograph byJ.LEAGUE

posted2018/08/23 16:30

鹿島帰還のジーコが求める自覚。見守り刺激を与える「七味唐辛子」。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

ジーコスピリットが継承され続けてきた鹿島。その権化であるジーコTDは、今回の復帰で常勝軍団をどう導くのか。

ユニフォームを着られる誇りを。

 静かに、そっと、選手たちを見つめている。ただそれだけで、チームに刺激が加わった。

「近年、サッカーを取り巻く環境が劇的に変化しています。放映権などのピッチ外を含めた時代の変化に限らず、僕自身、人生そのものが変化していると感じている。まさか7人の孫に恵まれるなんて思ってもいなかったですから(笑)」

 ジーコは、そんなサッカー界の変化に、どう対応していくのか。

「サッカーにおいて根本的なところは変わりません。ただ、今の若い人たちにどう伝えるか。これは、簡単なようで難しい。昔のことでしょうと言われないように伝えながら、いかに彼らの才能を開花させるか。このクラブの歴史を伝えた上で、アントラーズのユニフォームを着ることに誇りと自覚を持たせないといけません。それを何カ月かかったとしても必ず伝えていきたい」

歴史を築いたのは僕だけでない。

 今年65歳となるジーコだが、情報発信に対して柔軟な姿勢で今の時代に即応している。自身のSNSがいい例だろう。自らの言葉で、多くの情報を発信している[Instagram:zico_oficial、Facebook:ZicoOficial、Twitter:@Galinho1953、YouTube:Canal Zico 10]。TD就任後、選手に対してメッセージを送るだけでなく、フロントスタッフにも、これからのアントラーズについて話をする機会を設けた。

 ではジーコは、アントラーズの未来像をどう描いているのだろうか。

「このクラブが勝者たる歴史を築き上げたのは、僕だけではなくて、監督、スタッフ、フロントが全身全霊でこのクラブを強くしようと思った結果が数々のタイトルにつながってきたわけです。まずは勝って常にタイトルを獲ること。そして、アントラーズは個の台頭を目指しているクラブではなく、チームとしての台頭を目指すクラブです。誰か1人が試合を決めるのではなく、組織としていかに強くなるかが最大の課題となります」

【次ページ】 ロナウド、メッシ、レアルが手本。

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