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鹿島帰還のジーコが求める自覚。
見守り刺激を与える「七味唐辛子」。 

text by

池田博一

池田博一Hirokazu Ikeda

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photograph byJ.LEAGUE

posted2018/08/23 16:30

鹿島帰還のジーコが求める自覚。見守り刺激を与える「七味唐辛子」。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

ジーコスピリットが継承され続けてきた鹿島。その権化であるジーコTDは、今回の復帰で常勝軍団をどう導くのか。

TDは監督の代わりではありません。

「監督の示した練習メニューに対して、選手がどう応えているか、正確に練習が行われているか。チームの弱点に対してどう補強していくか。監督やスタッフと密にコミュニケーションをとって調整をする役割。与えられた期間の中で、早急に改善しないといけないところと中長期的なものを見極めていきたいと思っています。

 TDは監督の代わりではありません。これまでもアントラーズで同役職として仕事をしましたが、一番大切なのは、監督とTDの信頼関係。そこに信頼があれば、いいコミュニケーションが取れるし、お互いにいい仕事ができる。あくまで監督のサポートをする役割なので、そこに対して全力を注ぎたい」

 シーズン途中の加入となり、難しいミッションであることは間違いない。それでも「アントラーズでなければ断っていた」というオファーを快諾した。

「問題がなければ呼ばれていないはず。早急に見つけたいと思っています」

「チーム全体が締まった」(山本)

 覚悟を持った決断だった。

 TD就任後、アントラーズの練習グラウンドにはいつもジーコの姿がある。試合日でも、ホームであれば午前中にクラブハウスで行われるメンバー外の練習にも顔を出す。

「いつも見ているよ」

 暗に込められたメッセージが、選手だけでなくクラブ全体に良い影響を与えている。

 山本脩斗は、「合流してすぐに『このチームは勝たなければいけないチーム』と言ってもらって、チーム全体が締まった。改めてアントラーズはタイトルを獲らなければいけないチームだと感じた。でも、普段は前に出て話をするわけでもなく、静かに後ろから見守っている感じ」と言う。

 加入12年目を数える遠藤康は、チームの変化を「七味唐辛子」と表現した。

「選手たちも意識する部分があるけど、一番はスタッフ。監督、コーチだけでなく、フロントも含めてクラブ全体がピリッとしている。チームは選手だけでなく、フロントはもちろんサポーターも含めて成り立っているものだから。その意味ではいい形になった。普段の雰囲気に、七味唐辛子のようにピリッとスパイスがある感じ。大人にはそれが必要でしょ」

【次ページ】 ユニフォームを着られる誇りを。

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