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リバプールがCL王者に最も近い?
不動の前線3人に、完璧な戦力補強。
posted2018/07/29 11:30
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
「夏の補強はパーフェクト。準備万端整った」
リバプールのユルゲン・クロップ監督は、自信に満ちあふれている。
ナビ・ケイタ、ファビーニョ、ジェルダン・シャキリ、アリソンと、即戦力疑いなしのトップランカーを次々に獲得。プレミアリーグとチャンピオンズリーグだけではなく、国内のカップ戦も含めたローテーションが可能になる戦力を整え、打倒マンチェスター・シティの一番手に名乗りを挙げた。
ASローマからやって来たアリソンは、リバプール・サポーターが待ち焦がれた頼りになるGKである。1981年、レイ・クレメンスがトッテナム・ホットスパーに移籍した後、自軍ゴールに平穏をもたらす名手はひとりとして存在しなかった。
ブルース・グロベラー、デイビッド・ジェイムズ、ブラッド・フリーデル、クリス・カークランド、ホセ・マヌエル・レイナ、イェルジ・デュデク、シモン・ミノレ、ロリス・カリウス……といった面々は、スーパーセーブでチームを救うこともあれば、スーパーチョンボで相手チームにゴールをプレゼントするケースもあった。
GK史上最高額の移籍金。
しかし、アリソンは常に安定している。読み、予測に優れ、なおかつ反射神経が非常に鋭い。セリエAとプレミアリーグのデータ比較(2017-18シーズン)が的外れだとしても、アリソンのパス成功率は79%。カリウスとミノレは60%台だ。
シュートセーブ率も79%を記録し、カリウスの69%、ミノレの59%を大きく上回った。40年近く続いたゴール前の不安は、アリソンによって解消される。GKとしては史上最高額となる6700万ポンド(約98億円)もの移籍金は、期待の表れだ。
「休暇は2週間もあれば十分です。3週間は多すぎます」
ジョーダン・ヘンダーソンがクロップ監督に直訴した。ケイタとファビーニョの加入で、「ポジションがなくなる」と危機感を募らせているのだろう。ワールドカップの疲労を踏まえたクロップ監督が「頼むから3週間は休んでくれ」と説得し、ヘンダーソンも渋々納得したようだが、ハイレベルの定位置争いが早くもチームを活性化している。