草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
松坂大輔のいるところドラマあり。
平成ラスト球宴、怪物が何か起こす。
posted2018/07/05 11:30
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Kyodo News
松坂大輔が夢の球宴に帰ってくる。得票数39万4704票。「個性派が減った」だの「小粒になった」だのと言われて久しい日本プロ野球において「この選手を見たい」と思わせた証しだと筆者は受け止めている。実に12年ぶりの球宴選出。両リーグでのファン投票選出投手は、江夏豊(阪神、南海、日本ハム)以来2人目の快挙だ。
6月25日の選出会見では、背中の捻挫で出場選手登録抹消中という事情から、第一声は「びっくりした」。ただ、第2戦が熊本県の藤崎台球場で開催されることについては、前を見据えてこう話した。
「もしマウンドに立つことができたら、今まで感じたことのない特別な感情をもって投げることになると思います。九州ではなかなか投げている姿を見せることができなかったので、元気に投げる姿を見ていただければと思います」
言うまでもなく、2016年の熊本地震を念頭に置いた発言だ。同球場も大きな被害を受け、当時ソフトバンクに在籍していた松坂は、球場復旧資金にと1000万円を寄託している。ホークス時代はかなわなかった、投球で、プレーで被災地を勇気づけたい。通常なら、ファン投票選出投手は第1戦に先発することが多いのだが、松坂のこの思いをくみ取って、熊本での登板となりそうだ。
西武・山川は「ホームランか三振か」。
平成最後の球宴に、平成の怪物が戻ってくる。迎え撃つパ・リーグの勇者たちは、早くも松坂を意識したコメントを発している。
まずは両リーグ最速で20号に到達し、打点とともに二冠王に向けて快走中の西武・山川穂高だ。
「西武でエースとして活躍されていた方ですし、メジャーリーグやWBCでもすばらしいピッチングをしていたイメージがすごく強い。そんな松坂さんと対戦できれば、一生の思い出になります。ホームランか三振か。そういう勝負をしたいと思っています」
フルスイングあるのみ。出るか「調子乗っちゃって」ポーズ。6月17日の交流戦(メットライフドーム)では、予告先発されていたが松坂の背中痛により肩すかしをくらった経緯もある。現役最強アーチストとして、今度こその思いはひとしおだ。