プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人の二軍で耐えて学んだ4カ月……。
ヤングマン初登板初勝利の舞台裏。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2018/07/06 08:00
ウイニングボールを手に笑顔のテイラー・ヤングマン。テキサス生まれの28歳、身長198cm。
ロペスと同じような発言をしたヤングマン。
巨人では1年目に3割3厘をマークして、3年目にDeNAに移籍すると不動の中心打者として'17年には打点王のタイトルを獲得、ベストナインにも選ばれた。日本で大成功した外国人選手といっても過言ではない1人になったのである。
その彼の原点にあったのが「ここを最後の場所として、日本で成功したい」という強い思いだった。
「僕はここで成功したいから、どんなことでも我慢できる」
ロペスと同じように、来日直後にそう語って日本での成功を誓った選手がここにもいる。
巨人のテイラー・ヤングマン投手だ。
2011年ドラフト1巡目という華やかなMLB歴。
ヤングマンのアメリカでの経歴は、ある意味、ロペス以上に華やかなものだった。
'11年のドラフトでミルウォーキー・ブルワーズから1巡目、全体でも12番目の指名でテキサス大オースティン校からプロ入り。'15年にメジャー昇格するとその年はローテーション投手として9勝8敗の成績を残した。しかし翌年は6試合の先発で26回3分の2を投げて17四球に3死球という乱れっぷりでマイナー落ち。その後は鳴かず飛ばずで今年の1月に巨人と契約した。
ただ、巨人での境遇も決して良いものではない。
この時点で巨人の外国人枠はスコット・マシソン、アルキメデス・カミネロ両投手とケーシー・マギー内野手に新たに獲得したアレックス・ゲレーロ外野手で一杯だったのである。
ヤングマンは今季からメジャー復帰したマイルズ・マイコラス投手の代わりとして獲得したものの、基本的にはその4人のだれかにケガや不振などのアクシデントがない限り、一軍での出番は回ってこない。出口が見えない中、ファームで調整を続けなければならないという過酷な境遇での移籍だったのである。