球道雑記BACK NUMBER
混パの主役ロッテで頼もしい復活劇。
酒居知史の2勝目の大きな意味。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/07/04 07:00
酒居の活躍でチームは3位タイに浮上。パ・リーグは5チームが「Aクラス」という混戦を演じている。
ボルシンガー、石川に続く先発3本目に。
2018年7月1日、福岡ヤフオク!ドーム。酒居は、その日投げた101球のボールの、ひとつひとつに魂を込めた。
9回を投げ切るペース配分を考えてと言うよりは、初回から飛ばして行けるところまで行くというピッチング。
1回2死一、二塁の場面では5番デスパイネを145kmの内角直球でショートゴロに抑え無失点で切り抜けると、その後も一球たりとも手を抜くことなく、力一杯の速球を内外角両サイドに投げ込んで、7回5安打1失点の力投を見せた。
「本当に負けられない試合だって分かっていましたし、今季初めてチームに貢献できたのかなって思います」
3カ月ぶりの白星に、試合後、ホッとした表情を浮かべた。
ストレート、フォーク、スライダー、カーブといった多彩な球種を丁寧かつ大胆に投げ分け、キャッチャー・田村龍弘の要求に応え続けた姿は頼もしさも感じさせたし、今回の投球で、彼本来の姿を取り戻したと見ても良いだろう。
この日の勝利で千葉ロッテは3位タイに浮上、首位・埼玉西武とのゲーム差も4に縮めた。
現在、パ・リーグ最多勝の10勝を挙げるボルシンガーと、同2位で9勝の石川歩が開幕から好調を続けているのも心強い。十分「優勝」を狙える位置につけていると言えるだろう。昨年の終盤戦同様、酒居が先発3本目の柱として機能すれば、そのチャンスはさらに広がるはずだ。