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混パの主役ロッテで頼もしい復活劇。
酒居知史の2勝目の大きな意味。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/07/04 07:00
酒居の活躍でチームは3位タイに浮上。パ・リーグは5チームが「Aクラス」という混戦を演じている。
練習では頭を、試合では体を使って。
ファームで過ごした約1カ月半、酒居は改めて自分の原点を見つめ直した。
「練習では頭を使って、試合では体を使って」
そのことを今一度、念頭において、春先の苦い経験を踏まえ、その考え方をよりバージョンアップさせた。
5月下旬、ロッテ浦和球場でのこと。その日の練習を終え、駐車場へ歩を進める千葉ロッテ・酒居知史に声をかけると、彼は破顔一笑で、自身の近況を伝えた。
「今、良い! 凄く良いです!」
溢れんばかりの手応えに、彼の頬は自然と緩んでいた。
「昨年オフから取り組んできたことが、ようやくハマったと言いますか、春先と比べても、かなり状態は良くなっていると思います。(昨夏と比べても?)はい、一番良いです」
その表情からも彼の充実ぶりが窺えた。
投球フォームを変えてつかんだ手応え。
今季、酒居は二段モーションの解禁を受けて、フォームのマイナーチェンジを図っていた。
振り上げた左足を振子のように揺らし、その推進力を利用することで、より強い力をボールに伝える。その手応えは、結果の出なかった春先よりもグッと感じている。
さらには技術面で春先に違和感を覚えていた箇所にもメスを入れた。川越英隆二軍ピッチングコーチと相談した結果、セットポジション時のグラブの高さ、クイックモーション時の足の高さを修正。そうしたことでピッチングフォームがより安定し、制球力だけでなく、ボールのキレも以前より増したという。
川越コーチが酒居について話す。
「本人がどうするか迷っていたので、『迷っているくらいならやってみれば』と後押しはしました。ボール(の力)は、こっちに来た時と比べたらだいぶ良くなっていますし、あとはそのボールをしっかり試合でコントロールが出来れば、結果もついてくると思います」
酒居の状態の良さに太鼓判を押した。