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ベルギー黄金時代を築いた10年間。
攻撃陣は世界トップ、つけいる隙は?
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2018/07/02 12:00
ベルギー代表選手全員と日本代表全員の合計年俸を比べると10倍もの差があると言われるが……果たして実力ではどれほどの差があるか。
ベルギーの強みは北京五輪から10年の絆。
コンパニ、ベルトンゲン、フェライニが北京オリンピックから10年にも及ぶ信頼関係を築いてきた事実でも分かるように、人を理解し、尊重する心根の優しさこそが、ベルギーのストロングポイントなのかもしれない。
本稿を執筆している時点で、ベルギー対日本戦はまだ始まっていない。それでも一部のメディアは「準々決勝でブラジルと対戦濃厚」と煽り、マルティネス監督にもラウンド・オブ16を無視したような質問が飛んでいた。
「いまは日本戦にフォーカスしている」
礼を欠いているのではないかといわんばかりに、指揮官はひとりの記者を一瞥した。
GKティボー・クルトワも、「日本は戦術、技術に優れた強国だ。なかでもシンジ・オカザキは油断ならない」と気を引き締め、一戦必勝態勢を改めて強調していた。
情報を規制していたとしても、ベルギー国内の楽観ムードは選手たちの耳に入る。心理状態に影響を及ぼしかねないのだから、マルティネス監督とクルトワの対応は賢明だった。
フランスやブラジルが相手だと大量失点も!?
日本を破ってベスト8に進んだと仮定すると、ブラジルとの対戦が有力だ。準決勝はフランスか。
いずれにせよ世界にその名を轟かせるフットボール大国で、実績でもベルギーを大きくしのぐ。グループステージのようにはうまくいかない。では、どのように闘えばいいのだろうか。
もう一度、守りのプランを練り上げる必要がある。
ルカク、E・アザール、ケビン・デブライネ、ヤニック・カラスコ、ドリース・メルテンスを同時に起用しているため、中盤ではビツェルにかかる負担が大きくなりすぎている。
デブライネはもう少し、相手ボールになった際の対応に気を配らなくてはならない。E・アザールが中央に入りすぎて左サイドが手薄になり、カラスコが数的不利になるケースも散見した。
フランスやブラジルを相手にした場合、大量失点の恐れもある。