球体とリズムBACK NUMBER
バイエルンは三冠でレアルは3連覇。
CLで偉業狙う両雄、事実上の決勝か。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2018/04/24 11:30
昨季CLではレアル・マドリーが延長戦の末に合計スコア6-3で勝利。今季もロナウドvs.レバンドフスキの点取り屋対決が実現する。
ジダンのレアルは適材適所だから強い。
対するレアル・マドリーにも名将がいる。チャンピオンズリーグで優勝しか知らない指揮官、ジネディーヌ・ジダンだ。彼の古巣でもあるユベントスとの準々決勝は壮絶なドラマの末に、最後はPKをクリスティアーノ・ロナウドが沈めて、トータルスコア4-3で突破した。
第2戦の終了間際にその決定的な宣告をした英国人主審マイケル・オリバーは、ユーべの選手やファンから激しく非難されたが、運や判定も勝負を分けるファクターと言える。それを引き寄せたジダンとR・マドリーに、改めて凄みを感じたのは僕だけだろうか。
ここ1、2年、ジダンが指揮するR・マドリーを見ていると、戦術やシステムはあくまで副次的なものに思えてくる。適材を適所に置き、それぞれが自信を持って的確にプレーするよう送り出せば、2トップか1トップか、ひし形かフラットか、という話はひとつの側面でしかないのだと(もっとも45歳のフランス人指揮官は戦術にも明るく、いくつかのシステムをスムーズに使い分けているけれども)。
振り返ると、このクラブがチャンピオンズリーグを制したときのチームは、選手をうまくその気にさせる監督に率いられていた──カルロ・アンチェロッティ、ビセンテ・デルボスケ、そして現バイエルンのハインケス監督だ。
ロナウドは対バイエルン6戦9ゴール。
最後にお決まりのポイントに触れなければならない。そう、CR7だ。チャンピオンズリーグのあらゆる得点記録を保持する33歳のポルトガル代表は、バイエルンとの過去6度の対戦で9ゴールをマーク。昨季の準々決勝でも、2試合で5回もネットを揺らしている。
相性の良さと本人の好調ぶりを考慮すれば、今回もやはりR・マドリーが優位とみるべきか。バイエルンをも乗り越えて、3連覇まであと一歩とするのか――。
どんな結果になるにせよ、欧州フットボール界の両横綱には最後まで土俵際でせめぎ合ってほしい。今季もクライマックスが近づいている。