欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
因縁の相手リバプールとのCL準決勝。
ローマは“34年前の汚点”を消せるか。
posted2018/04/24 16:30
text by
手嶋真彦Masahiko Tejima
photograph by
Getty Images
ドイツ人のユルゲン・クロップは、どこまで知っているのだろうか。
リバプールとローマの因縁の歴史を。34年前のPK戦がロマニスタ(ローマのファン)に残した苦い後味を。いまだに蘇るその記憶を消せるのは、リバプールからの勝利だけだということを――。
CL準決勝の対戦相手が抽選でローマに決まると、リバプールのクロップ監督はこう釘を刺している。
「誰かが“しめた”と思ったとしても、私は同意できない。その人はバルセロナとの準々決勝を確実に観ていないはずだ。第1レグの4-1というスコアは内容を反映していなかった。(ローマが大逆転で勝ち上がりを決めた)第2レグは信じられないような試合を見せつけられた。“(抽選で)レアル・マドリーとバイエルンを回避できて、神に感謝しよう”とは私は思わない」
ローマが勢いづいているのは間違いない。準々決勝ではリオネル・メッシを擁する優勝候補のバルセロナから主役の座を奪い、世紀の大逆転劇を演じ切った。しかし、この伏兵を後押ししているのは、今現在の勢いだけではない。
34年前、初出場で決勝まで上り詰めた。
34年前のあのPK戦を「汚点」と表現する人物もいる。今回のCL準決勝は、その汚点を消し去る千載一遇のチャンスなのだ。相手はリバプールでなければならず、大一番でなければならない。千載一遇という形容がぴったりなのは、CL準決勝ほどの大舞台でリバプールと次にいつ対戦できるか、分からないからだ。
34年前に何が起きたのか。我々は少しタイムスリップする必要がある。
ローマの路地という路地から人が消えたのは、今から34年前の1984年5月30日。チャンピオンズカップ(現在のCL)の決勝が幕を開けようとしていた。1955-56シーズンに始まったその大会へのローマの出場は初めて。当然、決勝進出も初めてだった。