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バイエルンは三冠でレアルは3連覇。
CLで偉業狙う両雄、事実上の決勝か。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2018/04/24 11:30
昨季CLではレアル・マドリーが延長戦の末に合計スコア6-3で勝利。今季もロナウドvs.レバンドフスキの点取り屋対決が実現する。
バイエルンにとって2度目の三冠なるか。
日本時間4月26日の早朝に予定されている第1戦をホームで戦うバイエルンは、すでにブンデスリーガ6連覇を決め、DFBポカールでも決勝に進出した。つまり、今季の欧州で唯一、三冠の可能性を残しているチームだ。
これまで、同じシーズンにチャンピオンズリーグ(前身のヨーロピアンカップを含む)、国内リーグ、国内主要カップを制したチームは彼らを含めて7クラブあり、バルセロナだけが2度、三冠を達成している。
バイエルンが来季から指揮を執るニコ・コバチ監督を引き抜いた相手、アイントラハト・フランクフルトとのDFBポカール決勝も感情入り乱れる熱戦になりそうだが、やはり最大の難関は昨季王者であるR・マドリーとの取組だろう。バイエルンが2度目のトレブルを成し遂げて、バルサの偉業に並ぶ可能性はいかほどのものか。
心強いのはユップ・ハインケス監督の存在だ。2012-13シーズンにバイエルンを三冠に導いた指揮官こそ、御年72歳のこの名将であり、前回ベスト8のプレビューにも書いた通り、チャンピオンズリーグの勝ち方も熟知している。
「選手たちは健全な野望を抱いている」
セビージャとの準々決勝では、敵地での第1戦で先制されながらもすぐに追いついて、後半に逆転(この勝利で監督としてCL最多連勝記録を12に更新)。第2戦ではきっちりとスコアレスドローを演じ、難なくタスクを遂行した。
「準決勝まで勝ち進んだチームは、どこも侮ることができない」とハインケス監督は4強入りを決めた直後に話した。
「ただ我々にもチャンスはある。うちの選手たちは健全な野望を抱いているよ」
大きな揺さぶりからスピーディな連係と個人技でサイドを崩し、エースのロベルト・レバンドフスキにフィニッシュを託す形は、個人能力とコンビネーションの質が高いため、しばしば相手の予習を無意味にする。
頼れる名将の下で、選手たちは生き生きと自らを表現し、統率の美と生命力の発露を感じさせる。ただし、今季のCLではくじ運にも恵まれた。それがエネルギーをセーブできた幸運と出るか、はたまた激戦の経験値不足となってネガティブに響くか。