猛牛のささやきBACK NUMBER
オリの新守護神・増井浩俊が貫く信念。
リリーバーへのこだわりは新天地でも。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2018/04/05 08:00
新天地では背番号「17」を背負う増井。細身の体から力強い速球を次々と投げ込む。
バッターとの勝負に集中できるのがリリーフ。
2009年のドラフト5位で東芝から日本ハムに入団。中継ぎとして実績を重ね、'12年には73試合に登板し、45ホールドを記録して最優秀中継ぎ投手に輝いた。その後、クローザーとなり、'15年には防御率1.50という安定感で39セーブを挙げた。
かと思えば'16年には先発として結果を残す。シーズン途中に転向して10勝を挙げ、チームの日本一に貢献した。
だが増井はリリーバーにこだわった。
その理由をこう明かす。
「リリーバーを経験して、先発に戻ったときに、(先発での)投球が物足りなかったというか、ただ回をかせぐために投げているような感じがして……。自分の中で、バッターとの勝負に集中できていないなというのがあった。
本当に勝負をするなら、リリーフの方が楽しいなというのがありました。できる限りは、しびれる場面でやっていたいなと思いますね」
「結果じゃなく、自分が一生懸命できればオッケー」
高校生の頃までは、しびれる場面を楽しむどころか、不安でガチガチになるタイプだった。
それが、大学や社会人、そしてプロの世界で試合を重ねるにつれ、割り切りができるようになったと言う。
「自分よりもすごい選手がいっぱい集まっているところなので、ダメでもともとというか、その日の全力を出し切ってダメだったら仕方ない、という割り切りですね。自分はそれ以上できないので。
結果じゃなく、自分が一生懸命できればオッケーとしています。そうでないとやっていけない。結果だけ気にしていたら、特に抑えだと、やられた場合に、次の日に普通にできなくなっちゃうので。たとえやられたとしても、自分は一生懸命やったんだと思えれば、すぐに切り替えられるんです」