猛牛のささやきBACK NUMBER
オリの新守護神・増井浩俊が貫く信念。
リリーバーへのこだわりは新天地でも。
posted2018/04/05 08:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kyodo News
昨年12月7日、北海道日本ハムからオリックスへの移籍が決まった増井浩俊は、入団会見で少しはにかみながら言った。
「僕はあまりしゃべるのが得意ではないので、関西の方のボケなどに対応できるか、少し不安です。それに年齢も上のほうなので、若いチームに溶け込めるか、そういう不安もありますね」
それから約4カ月。オリックスの新守護神は、リラックスした表情で、昨季まで敵地だった京セラドームに現れた。
「もう何の違和感もなく、楽しくやれています。グイグイこられるのはちょっと苦手なんですけど、そういうのはあまりないので。まあ、タクシーのおじさんとかが結構グイグイなんで……ちょっと、静かにしてほしいなーって時もありますけど」
そう言って控えめに笑う。
オリックスに来たのは「リリーバーができるから」。
もの静かで、穏やかな語り口。
彼が感情をあらわにするところは想像しにくい。
それはマウンドでもあまり変わらない。捕手の伊藤光は増井の印象をこう語る。
「佳さん(平野佳寿/ダイヤモンドバックス)はガッツリ気持ちを前に出してくるタイプでしたけど、増井さんは淡々と投げるというか、落ち着いていますね」
しかし、もの静かな守護神の内には、実は勝負魂がふつふつと沸いている。
増井は昨オフにFA宣言し、複数球団の誘いの中からオリックスを選んだ。その理由の1つは、「自分がやりたかったリリーバーをやらせていただけるから」だった。