プレミアリーグの時間BACK NUMBER
伏兵セビージャにCLベスト16で敗退。
マンUモウリーニョは賞味期限切れ?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2018/03/17 09:00
浮かない表情を浮かべるモウリーニョ。ユナイテッド復権は長期的スパンで考えるほかなさそうだ。
ポグバ、ラッシュフォードが精彩を欠く。
一方、ユナイテッドの指揮官となったモウリーニョである。クラブ伝統の攻撃路線と自身が得意とする堅守路線とのバランスを見ながら、既存戦力と新戦力をミックスして結果を重ねている。昨季はプレミア優勝争いを捨てて、EL優勝によるCL出場権獲得を実現するための戦い方を選ぶ羽目になった。
2ボランチとしては守備面で心許ないポール・ポグバ、セビージャ戦で2列目右サイドに回ったマーカス・ラッシュフォードが精彩を欠くなど、中盤の構成は万全ではない。また今冬加入したアレクシス・サンチェスの起用法などは、モウリーニョ自身も改善点として認めている。
それでも今季のユナイテッドは、前半戦からプレミア2位争いをリードしている。ずば抜けた存在となったマンCを除く“ビッグ6”にとって、今季の2位は現実的に狙える最高順位と言える。
さらに、その過程ではライバルのトッテナム、リバプール、チェルシー、アーセナルの4チームのすべてから直接対決で勝利を奪っている。その勝利にしても、結果を出して当然されるモウリーニョの辛いところか。
リバプール相手のモウリーニョらしい勝利。
例えば昨年10月、1-0で勝利したトッテナムとのホームゲームは、2位対3位での価値ある完封だった。12月にホームでマンCに1-2で敗れたものの、直後のリーグ戦2連勝でショックから立ち直った。
セビージャとのCL第2レグ直前も、リーグ戦3連勝と波に乗っていた。チェルシー戦(2-1)とクリスタルパレス戦(3-2)はともに逆転勝利。特に後者は2点差からのドラマチックなカムバック劇だ。
続くリバプール戦では、今季好調なモハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネの3トップ相手にオウンゴールの1失点のみにとどめ、逆に早々に2点のリードを奪った。勝ち方を知るモウリーニョらしい勝利が讃えられるべき試合だった。
リバプール戦後、モウリーニョ監督は「セビージャに負ければ、この2、3週間のパフォーマンスなど簡単に忘れ去られてしまうのだろうな」と言っていたが、奇しくも本人の予言が的中する格好になってしまった。