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柴崎岳、独占ロングインタビュー。
「スペインで磨いたものを代表で」
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byDaisuke Nakashima
posted2018/03/19 08:00
アギーレ前監督の頃から次代のプレーメーカーとして期待された柴崎。スペインで花開きつつある力を見せてほしい。
バルサ相手の得点、直後に全治2カ月。
代表戦後のバルセロナ戦では初得点を決めた。スペイン中に柴崎の名を知らしめる、華麗なゴールだった。その試合で足元にピキッと感じた時の感覚を、はっきりと覚えている。着地した瞬間だった。
「あ、きたか」
瞬時にそう思った。柴崎は座り込んだ。中足骨の負傷で、全治は約2カ月とされた。
「バルサ相手に得点したし、代表も含めこれからという時の怪我だった。代表では目標のワールドカップ出場権を獲得して、そこから次の10月、11月の代表戦という流れで、その矢先だった。でもショックというよりは仕方がないという思いもあって。2年前から、1年に一度は痛くなる時期があって、3、4週間休んでいたんです。今回は手術しないと、同じことを繰り返す。落ち込む時間はなかった。リハビリをちゃんとして、早く復帰しようと」
「どんな選手にも驚くことは少なくなった」
負傷から復帰後、9試合連続で出場した。しかし移籍市場では新選手も加入し、若手も出てきた。当然、日々の競争もある。
「今、ヘタフェでは自分が満足してプレーしている感覚はあまりないです。でも長い目で見たら、そういう時期も必要だと思う。ここにいる以上、このサッカーに触れて、慣れて、吸収して、選手としての幅を増やしたい。リーガでやっているうちに、どんな選手にも驚くことは少なくなりました。
慣れはあるし、僕は慣れるということを求めてスペインにきた。ワールドカップのような大会では彼らのような選手とやることになる。慣れていないと面食らうだろうし、イメージもない。彼らにはイメージを遥かに超えてくるクオリティもある。でも普段から対戦していれば驚く事はないと思う」
3カ月後にはワールドカップが控える。各年代の代表を務めてきた彼は、日本を代表することの意味を身にしみて分かっている。しかし今の柴崎に感じるのは、なるようになるという自然なスタンスだ。
「自分が納得して、選手として向上するためにプレーして、その道の上でワールドカップと交われば、それも縁かなという感覚です。こればかりは自分でコントロールできないことの方が多いし、23人に選ばれるのも狭き門。選ばれてから考えるくらいの、いい意味で鈍感さを持つ感じでいたい」