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小林快、世界陸上銅と箱根への葛藤。
「競歩転向、100%良かったとは」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byRei Itaya
posted2018/03/19 07:00
箱根駅伝を夢見た男が、五輪の競歩者となる。小林快の歩むアスリート人生は非常に興味深い。
転向して100%良かったとは言えない。
もう、迷いはない。わずか4年前、長距離走者として落第した小林は、「歩くひと」として再生し、世界の頂点を目指す。それでも、小林の中に走ることへの未練は残っている。
「競歩に転向して、100%良かったとは言えないですね。あくまで、僕の人生の目標は箱根駅伝を走ることでしたから。もしも、高校生の僕が現在の僕と出会ったとします。高校生の小林快は、種目を変えた未来の自分を見てきっとショックを受けるでしょう」
ただし、24歳の小林快は、高校時代の自分にこう声を掛けるという。
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「高校生の時は、気持ちよく走っていただけだったよね。でも、競歩に取り組むようになってから、ひとつひとつ目的や意味、技術を考えるようになったよ、と。
そして、東京オリンピックで金メダルを獲るつもりだって」
(Number941号『小林快「すべてが自分の糧になっている」』より)