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松井稼頭央の恐るべき追い込みぶり。
西武・栗山、金子に早くも影響が。
posted2018/02/22 11:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
規則正しい打球音が室内練習場に響いている。
注意深く耳を澄ますと、それは1人ではなく、2人の打球音だとわかってくる。1人が打ったあと、間を置かずに次の打者がボールをとらえる音がする。どちらの音も快く、おそらくこれが試合だったら、観客を沸かせる打球になるだろうと想像できた。
2月中旬、埼玉西武ライオンズがキャンプを行なっている宮崎県日南市を訪れた。全体練習を終えたあと、室内練習場の、最も奥。見学者からも記者からもいちばん離れたマシンに向かっていたのは、今シーズンからライオンズに復帰した松井稼頭央と、プロ入り17年目を迎える栗山巧だった。
バッティングマシンのボールがなくなり、2人は地面いっぱいに転がったボールを集め始める。練習が終わったと思い、話を聞く準備を始めると、2人は再びバッターボックスに戻る。
1時間以上たっぷりと打ち込んだあと、2人は室内練習場をあとにした。
「もう、背中で伝わってきますよね」
2002年にライオンズに入団した栗山は在籍時期こそ松井と2年間重なるが、1、2年目は一軍の出場がなく、一軍デビューを飾ったのは松井がメジャー移籍を果たしたあとの2004年である。一緒にプレーをするのはこれが初めてだ。
栗山は言う。
「ああして一緒にバッティング練習をさせてもらっていても、もう、背中から伝わってきますよね、いろいろなものが。あれだけの実績がある選手なのに、一球一球、実戦さながら真剣に打つ姿を見るだけでも、身が引き締まる感覚でした」
黙々とマシンに対峙する松井の姿を見て「実はもう少し早く切り上げるつもりだったんですけど」と、大先輩の姿を見て力が入り、練習時間が長くなったことを笑顔で明かした。まるで2人だけの時間を楽しんでいるかのようだった。