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松井稼頭央の恐るべき追い込みぶり。
西武・栗山、金子に早くも影響が。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2018/02/22 11:00
昨年11月の入団会見では「もう一度、小さい花でもいいので咲かせたい」と語った松井。キャンプでも精力的にプレーしている。
「盗塁だけが“走る”ことではない」
その姿勢をライオンズの若い選手たちは、確実に見ている。
3年前から一緒に自主トレーニングを行っている金子侑司も、その1人だ。
「知人のつてを伝って松井さんの連絡先を手に入れて、直接電話をしたんです。『一緒に自主トレをさせてください』と言いました。即答で『いいよ』とおっしゃってくれました。松井さんは絶対に妥協をしない人。だから僕も先に練習を終わるわけにはいきません」
松井は言う。
「盗塁だけが“走る”ことではない。すべての走塁を“走る”ことだととらえれば、自分もまだまだ走れるんじゃないかと思っています。西武には足の速い選手がたくさんいて、それももちろんわかっているんですけど、でも何とかその中に食い込めるくらいにはなりたいと思いながら走っています」
入団が決まった際、42歳という年齢を心配する声も挙がった。何より古巣への復帰といえども、15年という歳月は長い。チームにどう溶け込んでいくのか、不安視する人が多いのも事実である。
しかし、松井はそんな不安を一掃するように、溌剌とした姿でキャンプに臨んでいる。その前向きなエネルギーが、若い選手が多いライオンズにどう浸透していくのか。今シーズンのチームを見る上で、楽しみがまたひとつ増えた。
どの言葉を取ってもすべてが前向き。
栗山は言った。
「松井さんと僕とはバッティングスタイルが違うし、技術に関しては僕も僕なりにここまでの野球人生で積み重ねてきたものがあるので、もちろんバッティングに関する理論も違うことが多い。それなのに、僕が何かバッティングについて松井さんに話すと『そうか、そういう考え方もあるのか』と僕の意見を聞いて、しばらく考え込んでいるんです。
その意識の高さや、謙虚な姿勢を見て、あれほどのキャリアがありながら、松井さんはまだ何かを探しているんやなと思いました。松井さんが発するどの言葉を取っても、すべて前向きで、何か答えを探していることがわかるんですよ」