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Bリーグ川崎とNBA王者は似ている?
コーチ、選手が突き詰めるものとは。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2018/02/03 07:00
川崎を率いる北ヘッドコーチ。厳しさと規律を求めることで、チームに一本芯を与えようとしている。
ミスをしてわずか27秒でベンチに戻された選手も。
谷口は、川崎加入4シーズン目を迎える。チーム屈指のイケメンで知られ、非凡なシュートセンスを持ち合わせている。栄養士の指導で、寮に入ってから半年で10キロもウェイトを増したという。
その谷口が、千葉戦で厳しいディフェンスを苦にもせずにタフショットを決めた。川崎のエース辻直人が負傷で退場し、自分がプレーで引っ張らないとと吹っ切れたと谷口は話している。北HCは試合後に、彼の貢献をこうたたえている。
「谷口が気持ちを非常に強く持ってつないでくれたと思います。色々なことが長いシーズンでは起こりますが、チーム一丸で乗り越えていきたいと思います」
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しかし谷口は、出場機会に恵まれていたわけではない。
千葉との1試合目の出場は55秒だけ。その1つ前のレバンガ北海道戦では、ミスをして出場後わずか27秒でベンチに戻され、それ以降の出番はなし。
ミスをしたから、交代させられる。交代させられるから、萎縮する。
では、川崎はなぜ厳しいラインを設定するのか。実はキャプテンの篠山も、今やリーグ最高のシックスマンになっている藤井も、同じレベルの要求を課されている。
厳しい態度でいても、サポートする選手たちがいる。
北HCは、谷口をたたえた理由と、彼の抱える課題をこう話している。
「昨日も、その前の北海道戦も出てすぐにミスしました。僕は我慢できず、すぐに代えてしまうんですけど……。
これがルーキーの小澤(智将)だったら、ミスをしても全然OKです。でも谷口の場合は大学生にたとえるなら、中心でやらなければならない3年生ですから。その段階で試合に出てすぐにミスをするというのを、そのままにしていては何も成長しないです」
北HCが厳しい態度でいられるには、明確な理由がある。
1つ目の理由は、厳しく叱っても、後輩をちゃんとサポートする選手たちがいるからだ。それは谷口自身も実感している。
「自分はけっこう(キャプテンの篠山)竜青さんから声をかけられることが多くて……」
千葉戦でキャプテンからは、こんな言葉を受けた。
「シュートを打ち続けることで、チームの流れは良くなるんだ。何本外してもいいから、しっかり打ち切れ!」
谷口はこう振り返る。
「やっぱり、心強いっすね! それによって、思い切って打てる部分がありますから」