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Bリーグ川崎とNBA王者は似ている?
コーチ、選手が突き詰めるものとは。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2018/02/03 07:00
川崎を率いる北ヘッドコーチ。厳しさと規律を求めることで、チームに一本芯を与えようとしている。
シーズン序盤戦は苦戦したものの、12月以降は好転。
後輩の背中を押した理由について、篠山キャプテンはこう明かす。
「谷口には『僕や(藤井)祐眞が崩すから、ボールをもらったら自分のリズムで打っていけ』と言いました。もし外れたとしても、ジョシュ(・デービス)やニック(・ファジーカス)がオフェンスリバウンドを取ってくれますから。2Q目は顔つきも変わって、開き直ってやれているなと感じました。
ただ、3Qは少し……。でも、これは彼にも良い経験になったと思うので、これからまた、ひと皮むけてくれるのかなという期待を持ちました」
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川崎は昨シーズン終了後、主力パワーフォワード2人がチームを離れた。日本代表の永吉佑也が京都ハンナリーズへ移籍し、ジュフ磨々道(ままどぅ)が引退したのだ。特に磨々道はファン感謝デーで副キャプテンの栗原貴宏が涙ながらに謝辞を述べるなど、人間性やリーダーシップの面でも不可欠だった。それだけに今シーズン序盤は苦戦が続いた。
ただ、チームは12月1、2日にサンロッカーズ渋谷にホームで連敗を喫して以降、一気に調子を上げている。
渋谷戦までの成績は、11勝8敗。渋谷戦後の成績は、9勝4敗。
しかも、この9勝4敗の中には千葉との4試合、中地区で独走するシーホース三河との2試合も含まれている。
HCだけに頼っては、強い組織は生まれない。
好転のきっかけは、毎週行われる選手だけのミーティングだった。優勝に到達するため、ある目標をみんなで決めた。
リバウンド数とルーズボール獲得数をリーグ最多にする。
それはHCが決めて、選手に提示すればいいだけのように感じる。しかし選手が自分たちで決めたことのメリットを、北HCはこう説明している。
「『君たちは何の項目で、リーグで一番になりたいんだ?』と問いました。もちろん、コーチ陣が決めるのは簡単なんです。でも『選手同士で話して、決めてくれ』と伝えました。そのかわり『それは誰が決めたルールなんだ? 自分たちで決めたことはしっかりやりなさい』とも伝えました」
HCだけに頼っては、強い組織は生まれない。各自に責任を持ってほしいからこその想いである。