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Bリーグ川崎とNBA王者は似ている?
コーチ、選手が突き詰めるものとは。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2018/02/03 07:00
川崎を率いる北ヘッドコーチ。厳しさと規律を求めることで、チームに一本芯を与えようとしている。
ルーズボールに飛びつく映像を作るコーチ陣。
北HCが厳しい態度を貫く理由の2つ目が、頼れるスタッフの存在だ。
選手たちがルーズボール獲得数でリーグトップになると決めたなら、それをコーチングスタッフが後押しする。
たとえば天皇杯の琉球ゴールデンキングス戦でのことだ。ルーズボールに対して、相手チームが1人、川崎の選手が3人飛び込んだシーズンがあったが、篠山はその場面を振り返ってこう話した。
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「ああいうプレーで流れは来ると思います。ただ、今シーズン(の序盤から中盤にかけて)は誰かが倒れても、他の選手が起こしにいかない場面が見受けられました。後で、倒れた選手が1人で起き上がるシーンの映像を見せられました。そういった部分から求められる」
篠山の言葉を補足するように、佐藤賢次アシスタントコーチ(AC)もこう明かす。
「あの映像を作ったのは、コーチ陣のアイデアなんですよ」
選手のためにどんな練習、アドバイスをするべきか。
佐藤はコーチと並行して、アナリストも務めてきた。
ただ、川崎には昨年12月から岩部大輝という本職のアナリストが加入した。これによって佐藤の作業は大幅に軽減された。その空いた時間を、有効に使えるようになったのだ。
「指導のために練習でコートに立つ時間が増えました。コートにいるとき、ACとして何が必要か、どんな練習を考えたらいいか、そしてそれらをどのように選手に伝えればいいかを考える時間がすごく増えたんです」
その変化に最も説得力を感じさせるのは、在籍年数最長、日本人最年長の栗原の言葉だ。
「若手の育成だったり、僕らの個人練習に時間を使ってくれる。各選手が何かの能力を伸ばしたいと伝えれば、色々な練習メニューも作ってくれます。そういう意味でも、個人のスキルアップにとっても非常に大きいなと感じています」
Bリーグ開幕前の「アーリーカップ」では、北HCの代わりに佐藤ACが指揮をとったこともある。
「アーリーカップは貴重な経験になりました。あの大会を経たことで、自分のなかでもHCへの情報の伝え方が変わっていますから。今までは、北さんが『こうやるぞ』といったら、『その作戦でいきましょう!』と言う方が多かったんです。でも、今までは黙っていたけど『HCに伝えておいた方がいいな』と思うことは、言うようになりました。僕も指揮を執らせてもらって、気づいたところですね」