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ACLに柏が3年ぶりに帰ってきた!
目を引く伊東純也の“新スタイル”。
posted2018/02/01 07:00
text by
原山裕平Yuhei Harayama
photograph by
AFLO
シーズン最初の試合としては、重圧の大きすぎる戦いだった。
AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場をかけたプレーオフは、一発勝負で争われるサバイバルマッチだ。勝てば天国、負ければ地獄の状況は、柏レイソルの選手に対して小さくないプレッシャーを与えているようだった。
過去の大会を振り返っても、この段階で足をすくわれた日本のチームはいない。勝って当然という空気も、彼らの動きを硬くした要因だろう。
対戦相手も厄介だった。近年のタイで最も成功を収めているムアントン・ユナイテッドは、昨年のACLでベスト16まで進んだ実力派のチームである。実際に、ムアントンのサッカーは、力の劣るチームにありがちな自陣に閉じこもり一発にかけるスタイルではなく、プレッシャーを受けながらも落ち着いてボールを回す上手さがあった。
「技術が高い選手が多かった。ボールが取れそうで、取り切れない場面がいろんなところであった」と、キャプテンの大谷秀和も相手の実力を十分に認めている。
力の差はあったが、前半は膠着。
それでも、両者の力の差は立ち上がりから窺えた。多くの時間帯で柏がボールを保持し、ゴール前に詰め寄る機会も多かった。
しかし、攻め込みながらも最後の場面の精度を欠き、決定的なチャンスはなかなか生み出せない。ラストパスが合わず、連係のちぐはぐさも散見された。それこそがシーズン初戦の難しさであり、ACL出場がかかった重圧だったのだろう。
「思った以上に硬かった」と下平隆宏監督が指摘したようにもどかしい展開で、攻勢の柏が一発のラッキーパンチに沈むシナリオも十分に考えられる前半だった。
そんな膠着状態を打ち破ったのは、伊東純也。
昨年末に日本で開催されたE-1アジア選手権でインパクトを残した背番号14は、日本代表を経験したことで一回り成長したようだ。後半立ち上がりの51分、小池龍太のスルーパスに反応して、エリア内に侵入。鋭く中に切れ込んでクリスティアーノの先制ゴールをお膳立てする。スピードとキレのあるドリブルという、伊東らしさが凝縮されたアシストだった。