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どうやってロナウドを操作してる?
ジダンが真摯に語ったスター操縦法。
text by
パトリック・ソウデン&フレデリック・エルメルPatrick Sowden et Frederic Hermel
photograph byBenjamin Cremel/L'Equipe
posted2018/01/07 07:00
ジダンはロナウドの5度目の受賞に際して「史上最高の選手」と手放しで称賛している。
「今、彼が経験している状況を、かつて私は生きた」
「今、彼が経験している状況を、かつて私は生きてきた。だからとてもよく理解し合えるし、私にはロッカールームで彼が何に直面しているのかよくわかる。言葉の中身も分かり合えるんだ」とジダンは解説する。
ジダンはロナウドの内側に簡単に入り込める。というのもロナウドが今、まさに身を置いている喧騒をすでに経験しており、その言葉には重みと説得力があるからだ。
そこが前任者のラファエル・ベニテスとは異なる点だった。
ロナウドのような選手をうまく指導するには、監督自身もまた偉大な選手であるほうがずっと有利ではある。
方法論2.「マスターからスターへ」
同じ階級に属していることは、ふたりの友情の証にはならない。
ふたりの関係は、レアルにおけるジダンの圧倒的な名声がロナウドの嫉妬を喚起して、悪化することも考えられた。そうはならなかったのはジダンが赴任した当初からロナウドを立て、彼が最高であると明確に表明したからだった。
ヒエラルキーはハッキリしているのだ。
「最初に彼と会ったときのことをよく覚えている」とジダンは言う。
「そのとき私はトップチームのディレクターだった。彼が周囲に対して何を伝えられるのか、私は彼に自分の率直な気持ちを語った。ときに彼が何をしようとしているのか理解されないこともあった。だが彼にはカリスマ性があり、自然と人々に何かを伝えている。だから最初に会話したときに、君には多くの人に伝えられることがたくさんあるのだから、決してそれを躊躇うべきではないと言ったんだ」