フランス・フットボール通信BACK NUMBER
どうやってロナウドを操作してる?
ジダンが真摯に語ったスター操縦法。
text by
パトリック・ソウデン&フレデリック・エルメルPatrick Sowden et Frederic Hermel
photograph byBenjamin Cremel/L'Equipe
posted2018/01/07 07:00
ジダンはロナウドの5度目の受賞に際して「史上最高の選手」と手放しで称賛している。
方法論4.「足るを知る男から飽くことなき欲求の男へ」
最終兵器(ゴールゲッター)となったロナウドの威力は絶大だった。
ポジションを変えた当初から、彼は敵に対して大きな存在感を発揮した。それはジダンが知恵を絞り切って成し遂げた戦略の結果でもあったのだが。
「彼の野心の強さには毎日驚かされてばかりだ」とジダンは告白する。
「400試合に出場して400ゴールを挙げたら、誰でもある程度満足するだろう。彼は違う。練習でも10回ゴールチャンスを得れば絶対に10回決めようとする。常に最高でありたいと思う気持ちやどの試合でもゴールを決めたいと願う野心は、少し虚勢を張っているところもあるように私には見えるほどだ」
そして次のように続けるのは、決してジダンの謙虚さによるものではない。
「私が彼に大きな影響を与えたとは思わない。何故ならすでに彼はすべてを生き、すべてを知り、すべてをやり尽していたからだ。
私たちは2年間一緒に働いているが、彼に知って欲しいと願うのは平静さくらいだ。
心を落ち着かせ、安寧を得ることこそを彼に伝えられたらと思っている。
ロッカールームの中で私たちはよく笑いあう。とりわけ彼があけっぴろげに笑っているときはそうだ。また彼が最も寛いでいるのが移動のバスの中で、運転手やスタッフのひとりをからかっていたりする。
等身大の彼は陽気で素晴らしい人間だ。もうこれ以上何も証明する必要はない。ここまでのキャリアを通してすでに成し遂げてきたのだから」