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どうやってロナウドを操作してる?
ジダンが真摯に語ったスター操縦法。
posted2018/01/07 07:00
text by
パトリック・ソウデン&フレデリック・エルメルPatrick Sowden et Frederic Hermel
photograph by
Benjamin Cremel/L'Equipe
今回配信のフランス・フットボール通信は、12月8日発売の「2017バロンドール」特集号から、ジネディーヌ・ジダンのレポートをお届けする。
レアル・マドリーの監督に就任して以来、ジダンとクリスティアーノ・ロナウドが特別な関係にあることは、読者の皆さんもよくご存知だろう。思い起こすのはアトレティコ・マドリーとのチャンピオンズリーグ決勝、延長戦に入る前にふたりがピッチの上で屈託のない笑みを交わしている姿がとても印象的だった。
もちろんふたりの関係は、監督と選手の枠を超えてはいない。だが、頂点を極めたもの同士にしかわかりあえないこと、伝えられないことがふたりの間には存在し、良好な関係を築きあげている。それがジダンのチームマネジメントとも相まって、レアルはクラブ史上幾度目かの黄金時代を迎えている。
では、ロナウドはジダンの何を信頼し、ジダンはロナウドに何を伝えようとしているのか。パトリック・ソウデン記者のレポートとジダンの言葉から、その一端がうかがえる。
監修:田村修一
互いを十二分に尊敬しあえているジダンとロナウド。
クリスティアーノ・ロナウドからその能力の最大限を引き出すために、自身がかつて“銀河系/ギャラクシー”のひとりでもあったジネディーヌ・ジダンは、ロナウドに対してきめ細かに対応している。そのロナウドに対する扱い方は、ジダンが以前から心がけている通常の指導法でもあったという。果たしてそれは、どのような背景から生まれたものなのだろうか。以下、その方法論のいくつかを検証してみた。
方法論1.「バロンドール受賞者からもう1人の受賞者へ」
ふたりは2006年のワールドカップ準決勝で直接対決している。21歳のロナウドは、すでに有望な若手以上の存在だった。一方、ジダンは、負けたときが即引退という状況のなかで、キャリアの最後の輝きを放っていた。
今日、監督としてレアルを指揮するジダンは、レアルが所有するバルデベバスの練習場でまったく臆することなく現役選手たちのボール回しに加わる。これはロナウドにとって、極めて特異な状況であるといえる。
「現役時代の彼は僕の憧れだった。今は監督として心から尊敬している」と、ユベントスとのチャンピオンズリーグ決勝の後でロナウドは語っている。
ふたりは互いに相手を尊重し、深い敬愛の情を抱いているのである。