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川崎の小林、大島ら獲得に教訓あり。
内田篤人に“フラれた”名スカウト。
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph byTetsuro Kaieda
posted2017/12/13 10:30
現役時代は小柄なアタッカーとして知られた向島。今は光る原石を見つけるための活動を続けている。
「応援するファンの気持ちになって選手を見ます」
向島は、獲りたいと熱望する選手をどんな気持ちで追いかけるのか。
「昔、僕は清水に入るとき、平野さんを通じて鹿島から誘われたことがあり、そのスカウト術の一部を知っています。恋人を思うような気持ちで、情熱を持って選手と接する平野さんのやり方。僕はそれとはちょっと違って、応援するファンの気持ちになって選手を見ますね」
人のまばらな学生サッカーの現場、向島だけは等々力競技場の熱狂のなかに身を置いている。ライトブルーのシャツを着て、ピッチを疾走する姿を思い浮かべる。来季、川崎への加入が明らかになっている脇坂泰斗(阪南大)、守田英正(流経大)はその甘美な時間にシビアな判断を加え、慎重に獲得を決めた選手だ。
チームはオフに入ったが、ここから向島には大学サッカーのインカレ、高校選手権が待っている。この仕事は年中切れ目がない。そうして来年、向島はスカウトマンとして、14年目のシーズンを迎える。