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浦和がCWCで得た不完全な達成感。
もし、レアルと戦っていたら……。
posted2017/12/14 17:30
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph by
Getty Images
「今日の試合に関しては、相手に勝つということだけ。1年を締めくくる意味でも、しっかり勝って帰ること。それができたから胸を張って帰っても良いと思っています。最後にサポーターと笑顔で終われて良かった。サポーターとも苦しい思いを共有してやってきましたからね」
浦和レッズの西川周作は、現地時間12日に行われたクラブワールドカップの5位決定戦で、ウィダード・カサブランカ(モロッコ)に3-2で勝利した後にそう話した。10年ぶりに出場したクラブ世界一を決める大舞台は、勝利で終わることができた。しかし、9日の初戦で開催国代表アルジャジーラ(UAE)に敗れたことで、望んでいた舞台に立てたとは言い難かった。
わずか中2日で、チームが喪失感を埋めるのは簡単ではなかったが、これが長いシーズンの最終戦だったというのは救いだったのかもしれない。消化試合などと言えば、この大舞台に対してあまりにもリスペクトを欠く。しかし、敗戦後に行われるもう1試合という意味で、3位決定戦と5位決定戦にはここまで落差がある。3位に輝いた10年前のことがあるだけに、想像を超えていた面がある。
だからこそ「最後は勝って終わりたい」「笑顔で日本に帰りたい」というのは、ささやかな願いかもしれないが、チームの気持ちをつなぐのにちょっとした手助けになっていた。
「個人的には、よくここまで来たなと」(興梠)
そもそも、浦和がこの舞台に立つことができたのは、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)で優勝したからだ。決勝トーナメントに入ってからは、済州ユナイテッドと川崎フロンターレに対し、初戦で2点差の敗戦を喫したところからホームで逆転勝利。準決勝の上海上港と決勝のアル・ヒラルとの対戦では、相手に押し込まれる展開を耐えて競り勝った。
そうした勝ち上がりだっただけに、興梠慎三はあらためて「ACLを戦っている時もギリギリの勝ち方だったし、守備は良かったけど攻撃は他のチームからの差があったから。個人的には、よくここまで来たなと。運の良さもあったと思うし、一人ひとりがレベルアップしないとこういう大舞台では勝てないとも思った」と振り返っている。初戦の勿体なく見える敗戦もまた、チームの課題がストレートに表れたとも言える。