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川崎優勝を象徴する最後の5点目。
「甘い」と言われても貫いた攻撃姿勢。
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byAsami Enomoto
posted2017/12/04 12:10
表彰式での「風呂桶」も、また地域密着で育ってきた川崎フロンターレらしい。川崎だからできる、シャーレを掲げる以上に価値あるシーンかと。
関塚・高畠体制、相馬監督、風間監督時代……。
プロである以上、どのクラブも結果は求められてしかるべきだろう。
だがチームは常に右肩上がりで強くなるわけではない。そのサイクルについて、「レンガを高く積み上げれば、必ずどこかで崩れる。横に積まなければいけない時がある」と語っていたのは岡田武史氏だが、川崎フロンターレも例外ではなかった。
2005年のJ1復帰後に強豪クラブの階段を上ったが、関塚隆&高畠勉体制後はチームとしてのサイクル終焉と一度向き合った。
そして相馬直樹監督や風間八宏監督の就任当初には、岡田氏の言う「横にレンガを積み上げる時期」も過ごしている。
風間監督を招聘する際に、庄子春男強化部長はクラブ哲学として「3-1で勝ちたい」と語っていたが、攻撃的なサッカーを標榜してレンガを積み続けたからこそ、これだけの大きな家が建ったのだろう。
当時の風間監督は「監督がチームを強くするわけではないんだよ。クラブの哲学が強くするんだ」と言っていたが、つまりは、そういうことなのだ。
寺田周平、伊藤宏樹……先輩の存在に大感謝。
もちろん、哲学だけが大事なわけではない。
サッカーは人がするスポーツだからである。偉大な先輩たちの存在に感謝の言葉を述べたのは、プロとして2008年からクラブに在籍する田坂祐介だ。
「試合前にアップしていた横で、周平さん(寺田周平:フロンターレU-15監督)が見ていてくれて、ヒロキさん(伊藤宏樹:強化部)もいて……そういうみんなが積み重ねてきたものが、ジワジワとコップからこぼれてタイトルにつながったんだと思います。やっとシルバーコレクターの呪縛を振り切れました」