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俊輔が磐田で過ごした最高の1年間。
「名波さんはすごく勉強になった」
posted2017/12/05 11:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
「最後に三竿くんが倒れていたのを見て、自分の川崎戦のことを思い出した」
12月2日、2017年Jリーグ最終節磐田対鹿島はスコアレスドローに終わった。優勝をかけた鹿島がそれを逃した瞬間のことを、中村俊輔がそう振り返った。2013年、キャプテンとして横浜を率いた自身もまた、今年の鹿島同様に、勝てば優勝というホームでの試合に勝てず、最終節でタイトルを掴み損ねている。
「優勝の瞬間を見ようとたくさんの人でスタジアムがいっぱいになって、ホームなのにいつもと違う雰囲気のなかで、僕らは新潟に負けた。次の試合(最終節)までの1週間は練習でもなんか、おかしな空気があった。ポジティブに振舞っているのに、無理をしているような雰囲気になったりして。
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でも鹿島は経験豊富な人も多いから、そうはならないだろうと思っていた。今日も常勝軍団の鹿島らしく来るだろうと想定していたので、僕らはそれ以上のアグレッシブさ、前へ前へという気持ちが出ていた。シーズンを通して積み上げてきたものだからね」
名波監督が感じた選手の成長。その中心には俊輔が。
先制点を獲らんとする磐田の勢いに押され、鹿島は前半苦しんだ。
「彼らがいつも通りできなかったのかはわからない。ただ、僕らはうまく対応できていた。レアンドロもなにもできなかったし、レオ・シルバも普段はしないようなミスをしていたし。優勝がかかっていたからなのか、いつも通りではなかったと思う。やっぱり前節ホームで勝てなかったのは大きかったんじゃないかな」
今季アウェーでの鹿島戦を3-0で勝利している磐田。ダブルとはならなかったが、「鹿島相手に1勝1分なら十分」と中村。ドローではあっても、シーズンの集大成としては、大きな手ごたえのある90分だっただろう。中村の白いパンツについた芝の色が、彼の奮闘を物語っていた。
昨季勝ち点36点で13位だった磐田の今季最終順位は6位。勝ち点も58点まで伸ばした。鹿島だけでなく浦和(2-4)、川崎(2-5)と上位陣をアウェーで粉砕した。
「自分達で上手くプラスアルファを肉付けしながらやってくれたのではないかと。残留争いをするであろうアウトサイダーだった我々が、徐々にダークホース的な存在感を出せるようになってきた」と名波浩監督も語るように、選手たちが大きく成長した結果だった。その中心に立っていたのが、中村だった。