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本当はレアルではなくユーベだった!?
C・ロナウド、幻に終わった移籍の真相。
text by
バレンティン・パウルッツィValentin Pauluzzi
photograph byStephane Mantey
posted2017/11/13 08:00
レアル・マドリーとは2021年までの契約を結んでいるロナウド。次の更新は無い、と周囲に漏らしているらしいが……。
「大きな投資をしてでも直ちに獲得すべき逸材」
「ところがその後に観戦したスポルティング対ベレネンセス戦では、クアレスマはベンチに座ってプレーせず、私はピッチ上の若い選手たちに注目することとなった。そこに'85年生まれのクリスティアーノがいたんだ。
プロデビューしてわずか3試合目だったが、それでも頭抜けていた。
彼がボールに触るたびに、私の後ろに座る女性が大声をあげて声援を送っていた。すぐに母親だと気づいて名刺を渡したよ」(前出 ディマルジオ)
5日後に作成されたディマルジオによるレポートには、「技術的に卓越し、それゆえに予測が難しい。だが、大きな投資をしてでも直ちに獲得すべき逸材である」と書かれ、最後はこう結ばれていた。
「この試合で見せたパフォーマンスを今後も続けるようならば、未来へ向けてのクラブの戦略に沿って、彼に対するオプションをすぐに実行すべきであると私は判断する。配慮ある選択を望む」
自チームのスカウトにさえ嘘をついていたGMモッジ。
その後もユベントスは次々とスカウトをスポルティングに派遣した。フランコ・ペセニーニもそのひとりである。
「同僚たちがすでに視察しているのを知らずに、何の先入観も持たずに評価ができた。結果は彼らと同じだった。
クアレスマが目的だったのに、強烈な印象を受けたのはロナウドだった。
だからブリーフィングの際にはモッジに強く推薦したよ。だが彼の答えは、値段を考えると見送らざるを得ないというものだった」
ただそれは“ビッグ・ルチアーノ”(モッジのあだ名)のブラフであった。
ストライカーの補強が急務となっていたスポルティングの、立場的に弱いチーム事情を見抜いて、モッジは数週間前からロナウド獲得の根回しを始めていたというのだ。