スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
バレンシアが2位なんていつ以来!?
メッシ&スアレスを上回る2トップ。
posted2017/11/12 09:00
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
Getty Images
バルセロナとレアル・マドリーの間にバレンシアの名を見るなんて、いつ以来のことだろうか。
ラ・リーガ第11節を終えて8勝3分。10勝1分という驚異的な成績を出しているバルサのせいで2位にとどまっているが、現時点での勝ち点27は他のシーズンであれば首位にいて然るべき数字である。
総得点30はバルサと並びリーグ最多で、5節以降は7連勝中。次節エスパニョール戦に勝てば、2つのクラブ記録(連勝記録と開幕からの無敗記録)を更新することになる。
しかも既に3位レアル・マドリーとはアウェーで、4位アトレティコとはホームで引き分け、CL出場権を争うレアル・ソシエダ、アスレティック・ビルバオ、セビージャといった上位陣を下している。
順位表の上だけでなく、上位陣との直接対決でも強さを証明してきたここまでの快進撃はしかし、過去数年の迷走ぶりを考えると、うまくいき過ぎな印象がある。
2012年以来、短絡的なチーム改造が繰り返された。
3季連続でCL出場権を獲得したウナイ・エメリが退任した2012年夏以降、バレンシアは半年ごとに監督と主力選手を入れ替える短絡的なチーム改造を繰り返してきた。
昨季も開幕4連敗とつまずいたパコ・アジェスタランを早々に解任。後任のチェーザレ・プランデッリもクラブが約束していた補強に動かないことを理由に、年越し前に辞任した。その後は中継ぎ役のサルバドール・ゴンサレス“ボロ”が暫定的にチームを指揮したが、結果は散々だった。ホームでわずか8勝、クラブ史上最多の65失点、同最多タイの18敗を積み重ねての12位に終わっている。
その間、フロントも慌ただしく人が動いた。1月にはプランデッリ辞任の責任をとりスポーツディレクターのヘスス・ガルシア・ピタルチが辞任。後任には下部組織のディレクターを務めていたホセ・ラモン・アレサンコが就任したが、その後チーム強化の実権は3月末にゼネラルディレクターとして招へいされた元マジョルカ会長マテウ・アレマニーの手に渡った。