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トリコロールのロクとハチの伝説。
上野と遠藤から、扇原と中町へ。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images/J.LEAGUE PHOTOS
posted2017/10/21 07:00
今年の初め、マリノスの前評判は決して高い物ではなかった。しかし、シーズン終盤を迎えて4位。チームの文字通り中心に、この2人がいる。
0-1とリードされても、同じことをやり続ける。
横浜と言えば、堅守のイメージが強い。ここまで26失点タイはリーグ最少。中町の目線に立てばその伝統に「試合を壊さない」があるという。
「この前の大宮戦(14日、1-1引き分け)は相手にリードされましたけど、1点取って慌てているのは相手のほうでした。こっちは先制されたからといって、慌てていない。前に行きがちになるとか何かを変えることもしない。忍耐力というか、同じことをやり続けていけばいい。
2-1にしてひっくり返すこともあれば、そのまま0-1で終わることもある。チームが残留争いに巻き込まれたのはこれまで('01年の)一度しかないし、逆に言えば試合を壊さないところで浮上ができない部分もあるかもしれない。でも強いチームというのは、サッカーの流れを分かっていて、そういう人がいるかどうか。その意味でユージさん(中澤)がいることでチームに安心感があるように、自分もそこを求めているんです」
この大宮戦で同点ゴールを奪ったのが中町であった。守備でも慌てず、落ち着きをもたらしたことがゴールを呼び込んだ。
扇原も、マリノスに来て覚えたのは「我慢」だという。
一方のロク、今季新加入した26歳の扇原もF・マリノスに来て、勝負に徹するプレーについて考えることが多くなったという。心掛けるのは中町同様に「我慢する」だ。こちらはもっと守備側の視点に立つ。
「陣形が整っていなかったら無理してボールを取りにいかず、スペースを埋めて我慢強く守る。もし前から行って外されて、後ろのスペースを空けたことで失点したら元も子もないですから。僕としてはどこのボールがこぼれて来るか、冷静に周りを見て、集中する。周りも声を掛けてくれるのでそこは思い切った守備ができています」
彼もポジショニングひとつにこだわりを見せる。これこそがタフな守備を実現させ、今季の飛躍をもたらした。
「僕自身、球際が強くなったというよりは、ポジショニングが良くなったから一歩前で競れるようになったり、出足が良くなったかなとは思います。考えることは危険なところをまずは一番に消す、危険なゾーンはタイトに行く。ユージさんはリスク管理を怠らないし、周りに声を掛けて守りやすい状況をつくってくれています。中盤はそれを理解して、常に準備しておく必要があります」