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トリコロールのロクとハチの伝説。
上野と遠藤から、扇原と中町へ。
posted2017/10/21 07:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Getty Images/J.LEAGUE PHOTOS
トリコロールのロクとハチ。
背番号6の扇原貴宏と背番号8の中町公祐は6月4日ホームの川崎フロンターレ戦、リーグ戦で初となるコンビを組んだ。
目立たなくとも、鑑定士の中島誠之助さん風に「いい仕事してますね~」とつぶやきたくなったほど。ロクが後方に軸足を置いてフロンターレの攻撃をつぶしにかかれば、ハチは後ろをケアしつつもパスの強弱でアクセントをつけて攻撃にメッセージを発する。
チームはフロンターレに勝って、ここから上昇気流に乗っていった。もう1人のボランチ、背番号5の喜田拓也の存在も大きいのだが、あのときふとロクとハチに既視感のようなものを覚えていた。
似て非なる、いや、そもそも似ていないと言われればそれまでなのだが、筆者はダブったのだ。ロクの上野良治と、ハチの遠藤彰弘が。
強力なDFとFWをつなぐ、黒子役。
10年以上も前に見た光景が広がっているような錯覚に陥った。
いぶし銀の名コンビだった。
岡田武史監督のもとで2003年、04年にリーグ2連覇を果たした横浜F・マリノスは松田直樹、中澤佑二をはじめとする堅固なディフェンス陣、攻撃のタクトをふるう奥大介、前線は破壊力ある久保竜彦、アン・ジョンファン……周囲がうらやむほどの陣容がそろっていた。
「堅固」と「破壊力」。
その前と後ろをつないでいたのが、上野と遠藤だった(新人王になる那須大亮を忘れてはいけないが)。強いF・マリノスには、黒子役となるボランチがいた。