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トリコロールのロクとハチの伝説。
上野と遠藤から、扇原と中町へ。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images/J.LEAGUE PHOTOS
posted2017/10/21 07:00
今年の初め、マリノスの前評判は決して高い物ではなかった。しかし、シーズン終盤を迎えて4位。チームの文字通り中心に、この2人がいる。
タイプではなく、役割にこそ共通性がある。
うまいし、強いし、読みもいい。ハチが攻守に効いていて、ロクが全体のバランスを統括する。リスクを冒すところ冒さないところの配分がまた絶妙で、この職人気質のボランチがチームを支えていたと言って良かった。
ロクとロクには長身、フィード、体を張った守備、ハチとハチには体の強さ、うまさ、ボールを持ったときの存在感。しかし、どこが似ているかを挙げたところでそこに答えはない。タイプではなく、役割にこそ共通性があるからだ。
中町は8番を背負って6年目になる。'13年にはリーグ優勝をあと一歩のところで取り逃がしたが、富澤清太郎とのコンビで「縁の下の力持ち」を担った。現在32歳で、ベテランの域に入っている。
中町は自分をセントラルミッドフィルダーと表現する。
F・マリノスのボランチに求められるのは?
ストレートにそう尋ねると、彼はこう応じた。
「心掛けているのは、チームが勝つために何をすべきかです。大きいサイドチェンジやミドルシュートもアリですけど、勝負に徹するためにいろんなものをそぎ落していくなかで、大事なことをちゃんとやる。守備がおろそかになってしまうと、このチームでは出られませんから。かといって前に行くプレーは、自分のなかでは残したいエッセンスですけど」
中町は自分をセントラルミッドフィルダーと表現する。
上がりすぎず、下がりすぎず。攻守の駆け引きにおいて、バランスを見つつ効果的なポジショニングにこだわる。守備でつぶさなければならない状況ではしっかりつぶし切る。
「1枚が落ちて縦関係をつくりますけど、モンバエルツ監督から(落ちる役割を)求められているわけじゃない。下がらない分、ボールに触れない時間も多いんです。それを我慢しながらも攻撃に関与しつつ、味方をうまく動かしていく。自分が目立っていなくとも、チームがうまくいっていたら最低限のタスクをこなせたことになる」
ボールに触りたいという欲求を抑えながら、ボールを持ったときに存在感を放つというのはまさに遠藤が大切にしていた点だ。